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陽川 文実さん

文豪達の作品に憧れて。純文学が好きです。好きな作家は芥川龍之介。

性別 女性
将来の夢 役者と物書きで生計を立てる。
座右の銘 「無駄」な物は、それを「無駄」だと思った瞬間から「無駄」になる。

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虫の羽

17/10/02 コンテスト(テーマ):第145回 時空モノガタリ文学賞 【 財布 】 コメント:0件 陽川 文実 閲覧数:173

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ある日、財布を開いたら虫の羽が出て来た。
大きな羽だった。蝉の羽だろうか。
虫は苦手ではないので、冷静に捨てた。

次の日、また財布から虫の羽が出て来た。
この前と同じ羽だったが、色が少し茶色かった。
道端に転がっている蝉にやつあたりした。

また財布から羽が出て来た。
一回目とまるっきり同じ羽だ。緑がかっていて、透けている。
さすがに気味が悪い。

今度は二枚出て来た。
どうやら対らしい。
先のものよりサイズが小さかった。

今更ながら気が付いたのだが、羽は近所の公園を通ったあとに現れるらしい。

昨日は茹だるような暑い日だった。
喉が乾いたので公園の自販機で飲み物を買うことにした。
小銭入れから小さな羽が四枚出て来た。

今日は公園を通らず遠回りをした。
案の定羽は出て来なかった。

安堵したからか、ついいつもの癖で公園に入ってしまった。
まぁ帰るだけだからいいかと思い、そのまま通った。

ふと出入り口付近の木が目に止まった。
その木に止まった蝉の羽に野口英世の顔が見えた。

他にも止まっていた気がするが、走る視界にははっきりと見えなかった。

翌日から羽は出て来なくなった。


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