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庵野丞 楽選さん

性別 男性
将来の夢
座右の銘 面白きこともなき世もいとおかし

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ある契約

17/09/12 コンテスト(テーマ):第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】 コメント:0件 庵野丞 楽選 閲覧数:129

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「どうして殺したんですか?」

「…………」

「もう一度聞きます。なぜ殺してしまったんですか?」

「すべてを終わりにしたかったから」

「どうして? 彼はあなたに良くしてくれたはずだ。殺す理由などどこにもないはず、そう思いませんか?」

「あんたに何がわかる? 人に会えば、口を開けば、みんなみんなあいつのことばかり。わたしは──わたしのことも少しでいい、見てほしかっただけだ」

「驚きましたね。嫉妬ですか?」

「嫉妬? 何を言ってるんだね、馬鹿馬鹿しい。確かにわたしは彼のことが妬ましかったかもしれない。しかし、私は子守りじゃない、あいつがいると他の自分のことができないんだよ。もううんざりなんだよ」

「金だけ手に入れば用済みですか」

「何を言うんだ! 人聞きの悪い」

「後悔してますか?」

「後悔しても遅い。死んだものは生き返らない」

「時間を巻き戻したいと思いませんか?」

「きみは何が言いたいんだね?」

「私と“契約”すれば彼を生き返らせることも可能です」

「“魂”でも差し出せというのか?」

「ずいぶん古風な言い回しですねえ。まあ、捉えようによってはそうかもしれませんね」

「…………」

「あなたが殺したあの男はそうとうな有名人だった。ファンだって多い。このままではあなたの罪はこの先一生、いや、あなたが死んでからも世間から攻め続けられますよ? いいんですか、それでも?」

「私は彼を滝壺に突き落としたんだぞ! 既に溺死か、全身打撲、バラバラ……どうしてそんなヤツが生き返る?」

「大丈夫、なんてったって彼は頭脳明晰。乗り越える術を知っていたということにして。ではドイルさん、次回からは私どもの出版社で“ホームズ”を書いて頂けますね?」


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