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mokugyoさん

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待て落ち着け俺は上司としての仕事をやったまでだ

17/09/10 コンテスト(テーマ):第142回 時空モノガタリ文学賞 【 上司 】 コメント:1件 mokugyo 閲覧数:101

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待て落ち着け俺は上司としての仕事をやったまでだ
落ち着け落ち着け
包丁おろせお前が俺を刺したところで何も変わらない
何も変わりやしないんだ
ただ単にお前が豚箱にぶち込まれるだけだ
後には殺人者の親としてお前の両親が攻められる未来しか残らない
だから落ち着け

大島の件か
あいつは学生時代から躁鬱の傾向があったんだ
それは嘘じゃない
だから病んで辞めた
大島が突然辞めてお前に仕事が大量に降りかかってしまったのは知っている
俺があの時お前に大島が中途半端に残した仕事を片付けるように指示したことも
しっかりと覚えている

でもそれは上司として仕方なかったんだ!
会社をまわすには
社会をまわすには
誰かがやらなければならない
それはお前も分かるだろう?
あの時終電も過ぎる残業の日々だったと思うが
あの当時はまだ残業代は出ていたはずだ

3年前から残業代が出ないことに怒っているのか?
俺は言っているだろう
残業しないで済むような仕事をしろと!
そう言うしかないんだ
上司としてはそう言うしかない

会社の業績が悪い以上
どうにかして誰かが頑張らなければならない
俺だって大変だったんだ!
この3年で会社とモメて辞めてった奴が大量にいることも知ってるだろう?

悪かったと思ってる
誰かが辞めるたびにお前や田中や舟木に仕事が大量にまわっていったことは
でも分かるだろう?
俺は上司としてどうにか会社をまわさなきゃならなかったんだ
分かるだろう?
お客様に負担をかけさせるわけにはいかないだろう?
取引先に迷惑かけるわけにはいかないだろう?

誰かがやらなきゃいけないんだよ!それが仕事なんだよ!それが会社なんだよ!
俺は上司として
部下をかかえる上司として
怒りたくもないのに怒ってたんだ!
嫌われ者になってでも言うべきことを言ってたんだ!

お前の誕生日のことも悪かったと思ってる
それは何度も謝っただろう?
誕生日に普通に働くことはまあ納得できるよな
しかしよりによってそんな日に大量の仕事が舞い込んで翌朝まで帰れないようなことになるってのは
確かに確かに嫌だったと思う
それは悪かったと言ってるだろう!
でもあの時は新事業立ち上げのタイミングだったから仕方なかったんだ!
お前以外でも他部署で何人も残業している奴らがいた
大変だったのはお前だけじゃないんだ?
分かるだろう?

ゴールデンウイークも年末年始も休めなかったことに怒ってるのか?
いや俺も休めてねえよ!
分かるだろ?上司だからそれこそお前より休めてねえよ!
いや正月は1日休んだか
でもお前も三が日のあとに1日休みとれただろ?
何?ゴールデンウイークの19連勤がきつかったって?
バカ野郎!俺だって25連勤してるわ!
みんな大変だったんだよ!お前だけが大変だったんじゃないんだよ!

お前も!上司になれば分かる!
部下をもつことの辛さが!部下に大量の仕事をふることの責任が!
会社が危機的な状況で何とか回していくことの使命が!
上司なんだから俺がそれだけ色々考えていることも知ってるだろう?
俺は無駄に怒鳴ってたわけじゃない!
お前らのことを思って!
会社のことを思って!
心を鬼にして!
怒鳴ってきたんだ!
仕方なかったんだ!

山下が不倫で辞めた件か?
あれもしょうがなかったんだ!
山下が全然関係ない部署だったにも関わらず
お前の部署が被害をこうむったと言いたいわけだよな?
バイトと不倫しててサボってた奴をいつまでものさばらせるわけにはいかねーのはお前も分かるよな?
山下は降格させざるをえなかった
だから山下は唐突に辞めた
その穴を埋めるのに田中をまわしたことを怒ってるのか?
しょうがねーだろ?
誰かがやらなきゃならねーんだ!
部門が違ってもできそうな奴にやらせて仕事をまわす!
それがうちの会社のやり方だ!
新人を雇って戦力化するのに時間がかかることはお前も承知だろ?
だから社歴がある程度長くてなんとかできそうな奴にふるしかねーんだ!
田中が山下の穴埋めのために突然の異動になって
それでお前の計画が全て狂ったことは知ってる
しかも俺が怒鳴りまくって作らせた計画だったよな
お前が怒るのも分かるよ
だからあの時も謝っただろうが!

いつまでも過去を引きずるな!未来を見ろ!
終わったことにいつまでも執着するな!
俺は上司だから
だからお前らに希望をもってほしくて
頑張ってもらってんだ!
お前らをこき使いたいわけじゃないんだ!
分かるだろ?

俺だって社長や常務や専務からの圧力が半端ねえんだ!
この世はそうできてんだ!

誰かが!誰かがやらなければならない!



誰かが俺を殺さなきゃならない

それがお前の結論か

いてえ
いてえ

苦しい
俺は上司として

会社を良くしたかっただけなんだ。

(終)


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このストーリーに関するコメント

17/09/10 トツナン

拝読しました。
独白の勢いに圧倒されてしまいました。とはいえ、場所も、時期も、相対する人間がどれほどいるかもわからず、自身の読解力の低さを思い知りました。また、理不尽さを理解しつつも、『会社を良くしたかっただけなんだ』と遺言のように言い残す上司氏の忠義というか……心情こそが最も謎で、むしろそれこそが御作の魅力なのかもしれないと感じました。

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