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ファリスさん

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縦社会と潤滑酒

17/08/30 コンテスト(テーマ):第142回 時空モノガタリ文学賞 【 上司 】 コメント:1件 ファリス 閲覧数:164

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上の空で酒を飲む。
司会は営業部の田中。彼は僕の同期で、公私問わず誰に対してもにこやかに接する、生粋の営業マンだ。
不思議とウマが合い、彼とは入社以来の仲だが、彼がいつも自信満々そうなのに対し、僕には自信というものがない。だから司会を彼に任せるのは良い判断だと思う。
抱負を叫ぶ者、吐くまで飲む者、芸を披露する者など、宴会は良くも悪くも盛り上がっている。
のんびりと一人で飲みたいタイプの僕は、このように騒がしくては楽しめないと内心思っていた。
職業柄一人で画面に向かっていることが多い僕は、大人のくせに場所を構わず不満そうな態度を露わにしてしまう悪癖がしっかりと残っている。こういう事を酒の席でやってしまうと、何が楽しいのか、酔っ払って赤くなった上司がウザ絡みをしてくるのだ。
うっとうしい。
空回りする上司の気遣いが、うっとうしい。社会人になるまで人間関係で悩んだことはなかったが、とりわけ「上司」という存在がこんなにうっとうしいとは思っていなかった。
スマホを取り出して相手を威嚇する。隣の隣では部長がジャケットを脱いで振り回し始めた。馬鹿なのか。
レクリエーションが一通り終わると、彼が隣に来て、ウォッカをストレートで煽った。そんなに強い方ではないはずだが、無理にでも飲む気のようだ。
満点の司会っぷりだっただろ?
ちょっと飲みすぎじゃないか?
てめぇが素面なだけだろうがあ!
いつもより酔っているようだ。無理やり飲んだから悪酔いしているのかもしれないと思った。
かなり飲んだし、これ以上はやめておいたほうがいいぞ。
らしくもなくお節介を焼いてしまった。馬鹿ではない彼のことだから、必要なかったと思う。あとでからかわれるのがオチだ。
もう放っておこうと思った。
しばらく無秩序な騒ぎが続き、次第にみんな疲れてきたのか、それとも飽きたのか、終わらないのではないかと思われた宴会も、なんとなくお開きのムードになってきた。
いつまでも夢は見ていられないのだ、と上司を起こして回った。


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このストーリーに関するコメント

17/09/05 トツナン

拝読しました。
酒の席での乱痴気騒ぎを前にした主人公のうんざり具合が伝わってきました。その一方で、ソツなくこなす同期の存在や、ノリと勢いだけの同僚達を視界の外に追いやることもできず、不満を態度に出してしまうことを己の「悪癖」と評する彼のもどかしい気持ちもほんのり感じました。
とはいえ、悪酔いしない程度にほどほどに飲みつつ、同期を見守り、酩酊した上司を起こして回る彼の役回りもまた、酒の席では必要不可欠なものであり、きっと無愛想とは思われつつも得がたい存在なのかもしれない、と思いました。

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