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風宮 雅俊さん

テーマに沿った物語を、どのくらいのレベルで書けるかな? と言う事で登録してみました。 アマゾンの電子書籍キンドルで作品出してます。こちらも宜しくお願いします。 ツイッター: @tw_kazamiya

性別 男性
将来の夢 世界一周の船旅で、船室に籠って小説を書く事
座右の銘

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転職の相談

17/08/14 コンテスト(テーマ):第142回 時空モノガタリ文学賞 【 上司 】 コメント:3件 風宮 雅俊 閲覧数:156

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「どうぞ、おかけ下さい」
 今日のクライアントも、相談するかを悩んでいる。悩み事を相談するかで悩んでいては悩みが増えても減る事はないのに・・・・、無視して様子を見るのも面白いかな?
「転職について悩んでいますよね。悩んでいるだけでは埒が明かないですよ」
 何故、分かるのか驚いている。占い師だから分かるのか?ハッタリで言ってきているのか?また、悩んでいる。でも、ここまで来たんだから決心できる筈。

 見た目二十代後半、ナチュラルメイクではないけれど、薄化粧。
「私、今の仕事に向いていないのかも。上司に怒られてばかりで・・・・。転職した方が良いのかも。でも、転職先で上手くやって行けるのかも分からないから。どうしたら良いのか分からなくなってしまって」
 占いの結果は出ている。占いの結果を受け入れるのかも分かっている。占い師だからね。でも、仕事だから。
「まず、どう言う仕事をされています?」
「品質保証室でデータの入力や校正を行っています」
 品質管理も兼務していると言う事は、準大手規模。待遇面を考えればしがみ付く事を考えてもいいのに、二十代ではそこまで意識が回らないみたい。
「データの入力や校正で怒られるのですか?」
「どちらも手順が決まっていて、その通りに行っています」
 怒られる要素が出てこないと、問題点を認識させる事が出来ない。
「どう言う仕事をしている時に、怒られるのですか?」
 また、悩んでいる。毎日怒られている訳ではない。『怒られてばかり』と言った訳だから、毎日怒られている事を説明しないと辻褄が合わないと考えている様だ。
「入力したデータが間違っていると怒られます」
 上司が簡単に見つけられる間違い・・・?
「十倍大きな数値とか、十分の一の数値が混ざっているとかですか?」
「入力したデータはグラフにして確認しているので、そう言うミスではないです」
「では、どう言うミスですか?」
「検査員が変わると数値の周期性が変わるとか。検査員と字体に整合性がないとか。それをそのまま入力するのは、入力者のミスだそうです」
 これは凄い上司。自分でも確認をしているのは部下を信用していない? と、言う事ではなさそう。
「そこまで、見抜けるのですか?」
「座右の銘は三現主義とか言っていました。検査日報を持って来て私が入力したデータを確認していました。その上で、製造部長経由で検査課長に指導する様に言ってあるから、現認して対処する様に言われて。でも、歳も上、役職も上の人に何と言ったらいいのか・・・」
「品質保証室は上位組織だから製造部長にも改善要求できますよね?」
「そうなんですか?」
 この上司なら説明をしていそうだけど・・・、
「大丈夫です。あなたが話しやすい様に、室長が仁義を切っているから問題ないですよ。そこまでしてくれる上司は少ないですよ」
「そうですか?」声のトーンが更に下がった。
「万能上司はいないし相性の問題もありますが、これから先その人以上の上司に巡り合う事はないと思いますよ。丸投げ、梯子外しの上司が多いですからね」
「そうですか・・・・、育てて貰わなくも構わないし、丸投げされても出来ないし、梯子に登る様な仕事はしませんから」
 悩まずに帰る準備に入っている。
「上司を替えたいだけでも、会社を替えれば、お給料も、休みも、同僚も全て変わってしまいますよ。それに、上司との関係性は常に変化するもの。良くも悪くも二三年の辛抱ですよ」
 すでに、何を言っても声は届かない。酷い上司だと賛同し転職を勧める結果ではなかったからだ。志のない部下から見れば暑苦しい上に嘘もすぐに見抜く面倒臭い上司なのだろう。
「参考になりました。ありがとう御座いました」
 軽くお辞儀をすると、占い料をおいて立ち去った。

 彼女がそこを離れる事で、別の人が救われる。出来れば私の目の前に現れた人に幸せになって欲しいけれど、私のエゴで世の中が動く訳でもない。


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このストーリーに関するコメント

17/09/09 トツナン

拝読しました。
相談したい。そして自分を肯定するアドバイスがほしい。あるいは共感してほしい。そうか怒られちゃったかー上司さんも言い方あるよねー他にどんなこと言ってたのー程度の。他者の共感を求める悩み人の多くがそう考えるかもしれません。
御作のクライアント女史もきっと、恋人や家族、友人・知人、あるいはネット掲示板で同じような愚痴をこぼした後なのかもしれません。相談を受けた周囲は親切心から傾聴し、事実を整理し、問題点を洗い出し、アドバイスしたことでしょう。それでもなお占い師氏に相談せずにはいられない。同じアドバイスをされるかもしれないとわかっていても……

17/09/09 トツナン

……占い師氏のアドバイスは一般論に感じられながらも、「占い」の要素を含んでいるとのこと。もしかしたら彼女は転職して、非人道的かつ無能な上司の元で働くのかもしれず、その上司は放任的で、仕事を丸投げし、自分は関係ないとシラを切るような人物なのかもしれません。彼女は、怒られるよりもずっと辛い立場で、酷使され、すり減り、次第に衰弱していくことでしょう。「占いの結果を受け入れるのかも分かっている」と豪語する占い師氏が、予期される未来としてのそれらを語らず、『良くも悪くも二三年の辛抱ですよ』と締めくくったところに、あくまで仕事だと割り切っている氏の冷静な姿勢がうかがえました。長文失礼しました。

17/09/10 風宮 雅俊

トツナン さま
 コメントありがとうございます。
 他人を評価する時に用いるのは評価者の価値観だと思います。その為、良い上司も悪い部下から評価されると悪い上司になってしまいます。これを描き出す為に第三者の視点が必要でした。友人の場合、今後の付き合いを念頭に言葉を選ぶので、利益関係者でなくプロ意識の高い占い師の紀世子さんに登場をお願いしました。
 二千文字の範囲で良い上司なのに悪く見られてしまう事に賛同が得られる部署を考えた時、馴染みのある品質保証にしました。ただ、社会人が多いこのサイトでも品質保証を謎の集団と思っている人が多いと思うので、こちらの意図が上手く伝わるか?です。

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