1. トップページ
  2. カッコウかモズか白鳥か

つつい つつさん

twitter始めました。 @tutuitutusan

性別 男性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

0

カッコウかモズか白鳥か

17/08/13 コンテスト(テーマ):第140回 時空モノガタリ文学賞 【 育児 】 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:284

この作品を評価する

 子供部屋のドアが開く。あきこママの「そろそろ起きる時間よ」と呼びかける声がした。私は体を起こすと先にシャワーを浴びることにした。
「希ちゃん、おはよう」
 私も「あきママ、おはよう」と返す。あきこママは隣のベッドで寝ている悠香の体を揺らす。
「あんたも早く起きなさい」
 悠香は朝弱いから、あと五分はぐずぐずしているだろう。リビングでは、まことパパがスーツを着て、もうカバンを持って出掛けようとしていた。
「まこパパ、おはよう。早いね」
「おう、おはよう。今日は朝から会議だよ」って、面倒くさそうな顔して出て行った。
 シャワーを浴びてリビングに戻ると、朝食が準備されていた。悠香も先に食べていた。朝食が終わると、私はマンションの隣の部屋の自分の家にランドセルを取りに戻った。
 リビングに入ると、ペットボトルの水も出しっぱなしでママがソファで寝ていた。また、仕事の後、着替えもしないでそのままだ。私は、ママの肩をたたく。
「ちゃんと着替えてベッドで寝なさいって言ってるでしょ」
 ママは片目を嫌そうに開けると、きつい目で私を睨む。
「もう、うるさいわね。子供は早く学校行ってきなさい」
 そう言うと、また寝始めた。私は呆れてママの寝ているソファを軽く蹴る。こんなだらしない女目当てにお酒飲みにくる客がいるなんて意味わかんなかった。私は、ランドセルを取ると、部屋を後にした。悠香もランドセルを背負って出てきたので、一緒に学校に行く。
 私と悠香は同い年で、たまたまマンションのお隣同士だった。自然と家族同士の交流が始まり、ママが夜働き出すと、いつしか私は悠香の家に預けられるようになった。まるでママはカッコウで、あきこママと、まことパパはモズだった。私は申し訳ない気がしたけど、誰も気にしてなかった。
 学校から悠香と一緒に帰ると、あきこママが大はしゃぎしていた。
「希ちゃん、やったよ。書類審査通ったよ」
 どうやらキッズ、ローティーン向けのファッション雑誌の読者モデルに私の写真を送って応募していたらしい。
「うわっ、希が読モ! やばい」
 悠香も一緒になって騒いでいる。あきこママはファッションが大好きだ。普段はTシャツと、だっさいジャージしか着ないママとは大違いだ。でも、あきこママも悠香もどっちか言うとポッチャリでゆるキャラみたいだから、私やママにばかりカワイイ服を着せたがる。おかげで私はファッションに詳しくなった。
「今度、出版社までオーディション行こうね」
 あきこママが張り切っている。悠香も「私もついて行く。出版社ってどんなところだろう」って、喜んでいる。私は正直読モなんて考えてなかったけど、二人がこんなに嬉しそうなら、なってみたいと思った。
 あきこママは私のママなんかより何倍も何倍も素敵なのに、悠香はママに憧れている。
「希はいいなぁ、あんなキレイでスタイルのいいママがいて。私も大人になったら、スタイル良くならないかな」って、よく言っている。その割にはポテチばっかり食べてるから、痩せる気はないらしい。
 夕食の後、審査が通ったお祝いをしてくれた。イチゴとクリームがたっぷりのホールケーキが出てきた。
「希ちゃんよりカワイイ小学生なんていないよ。次のオーディションも楽勝だな」と、まことパパもべた褒めしてくれた。あきこママと悠香はオーディションの日、私がどんな服着ていくかで盛り上がっていた。
 ケーキが切り分けられ、紅茶と一緒に美味しく食べた。いつもは小食の私も、あきこママと悠香がペロリと食べて、おかわりしているのを見て、もう一切れ食べようとすると止められた。
「あら、希ちゃん、おなか出ちゃうわよ」
「そうだよ、希。あんまり食べたら、うちのママみたいにデブになっちゃうよ」って、悠香にまで止められた。私のスタイルは心配するのに、自分たちはお構いなしにケーキをパクパクほおばってのを見てると、えってなったけど、二人の幸せそうな顔見てると、まあいいかと許せた。そのうち、半分以上残っていたホールはすぐに消えていった。
 ママが仕事に行く前に、オーディションのことを話すと、「あんたがモデル?」って、笑われた。
「なによっ!」って、怒ったら「モデルって見た目だけじゃないのよ。雰囲気っていうか、オーラが必要なの。あんたにある?」って挑発された。
 私は「ざまあみろ」って言うためにも絶対受かってやるって決めた。
 夜、寝る前、ベッドの中で私はやっぱりカッコウはずるいって思った。でも、私はカッコウの子だからカッコウになるのかな、なんて悩んだけど、私は違う鳥になろうと思った。白鳥? 孔雀? 鷹? 鷲? よくわかんないけど、かっこよくてキレイで、カッコウやモズなんて関係なくて、みんなを守れるようなそんな鳥になろうと思った。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン