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篠崎ショウさん

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育児ってなんだろう?

17/08/13 コンテスト(テーマ):第140回 時空モノガタリ文学賞 【 育児 】 コメント:0件 篠崎ショウ 閲覧数:156

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 今回のコンテストのテーマは「育児」らしい。さて困った。自分は独身で、将来結婚を約束している相手もいない。そもそも自分は結婚とは人生の墓場であると信じているので、夫婦生活、果ては生まれた子供を育児している未来など想像も出来ないのである。
 ……まあ、しかし、運営から提示されたテーマで短編小説を書き競うのがこのサイトである。ルールには従うしかない。
 よし、書いてみよう!
 
 * * *
 
 おぎゃあ、という元気な泣き声と共に新たな生命が生まれた。その小さい肉の塊は確かに人の形をしていて、人間の赤子だということを物語っていた。
 「おめでとう。可愛い女の子ですよ」
 看護師から祝いの言葉をかけられ、妻は嬉しそうにはにかむ。涙ぐみながら妻が俺の手に赤子を抱かせようと促してきた。
 「ほら、パパですよ」
 
 * * *
 
 駄目だ、出産時から丁寧に書いていたら「育児」に至るまで2000文字では足りない。ここはもう少し進んだ時間軸を書くか。
 
 * * *
 
 娘は重大な病気にもかからなくすくすく育ち、今日で三歳の誕生日を迎えた。
 「パッパ、だいちゅき!」
 三歳のプレゼントにキティちゃんの大きなぬいぐるみをあげると、そんなことを言ってきて抱きついてくる。我が娘ながらませている。だがそこがとても愛おしい。可愛い娘よ。これからもずっとパパを好きでいておくれ!
 
 * * *
 
 うーん、これじゃあいくら何でもありきたりかな? それにこれからの展開が思いつかない。これから俺の娘(仮)は何不自由なく育ち、やがて結婚するということくらいしか思いつかない。俺って想像力が貧困なのかな?
 じゃあとりあえず、これもまたありきたりだが、娘(仮)が彼氏を家に連れてきたという所を書こう。
 
 * * *
 
 今日の俺は朝から不機嫌だ。なぜなら娘が彼氏を家に連れてくる日だからだ。
 何でもその彼氏というのが旧帝都大学で物理学を専攻しているインテリだというのだから気に入らない。ああいう理系の学生は理論でしか物事を考えられないから、人の心の機微に疎い。これは俺の偏見だが。
 妻なんぞ昨日から部屋の掃除にいとまがない。俺が少しでも部屋の秩序を乱そうとすると、ヒステリックに叫んでくる。そんな見栄を張らなくてもいい気がするが、妻の性格が見栄っ張りなので仕方がない。
 玄関のチャイムが鳴る。妻が待ってましたとばかりに立ち上がって娘とその彼氏を出迎えるために玄関へと向かう。俺はソファーで難しい顔を作りながら二人を待っていた。別に難しくしていなきゃいけないというわけじゃないが、そうした方が威厳がでるかなと思ったのだ。
 リビングのドアが開かれる。そこに立っていたのは妻と、長身の彼氏を連れた娘であった――
 
 * * *
 
 「ふう、今日はここまででいいかな」
 俺はひとりごち、テキストエディタの文章を保存し、エディタを閉じた。そしてギャルゲーを立ち上げる。
 『もう、どこ行っていたの! 寂しかったんだからね!』
 画面の向こうの二次元の美女が寂しがっている。長いことログインしていなかったから好感度が下がってしまったのか。俺は彼女(仮)が喜ぶよう様々な物をプレゼントした。
 そう、今の俺は「育児」どころか結婚も出来ず、二次元の彼女を落とそうと躍起になっているのであった。
 彼女達は色んな顔を見せてくれ、時に成長する。沢山プレゼントを貢ぎ、甘い言葉をかけてあげ、自分好みに「育成」するのだ。俺はこれがたまらなく楽しい。
 …………あれ?
 俺、今重大な事に気がついた。
 これって、まさしく「育児」と同じじゃね?
 
 (了)


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