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セレビシエさん

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ブラックホール

17/08/10 コンテスト(テーマ):第141回 時空モノガタリ文学賞 【 黒板 】 コメント:0件 セレビシエ 閲覧数:553

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「黒板ってずうっと見ていると吸い込まれそう」
君がそう言うから僕はじっとそれを見つめてみたが、さっぱりそんな感じはしなかった。
放課後の誰もいない教室。少し開いた窓の隙間から冷たい風が入ってきている。
君はなんだかうっとりした様子でそれを見ていた。
僕はドキドキしてしまって、何を言うべきかわからなくなってしまった。
「ブラックホール」
君が呟いた。
「黒板の中にはブラックホールがあるのよ。だから吸い込まれそうになるんだわ。」
僕はよくわからなかった。
やっぱりわからない。
僕はなんだか情けなくなった。
きっと、君は、彼女は、僕には見えない世界を見ていて、僕はそれを理解してみようとするけど、ダメだ。
そうやってきっと、彼女はどこか遠くへ行ってしまうのだろう。
僕はおいてけぼりだ。
僕はしょんぼりして黙っていた。
暫くして、彼女は真っ黒でさらさらとした髪を風に靡かせた。
その光景はあんまり綺麗だったから僕はうっとりした。
彼女は立ち上がって黒板の前へ行った。
そして白いチョークを掴み、黒板に大きな丸を描いた。
彼女は僕の方を向いて、
「ねっ、ブラックホール!」
と言った。
僕はすっかり落ち込んでいたから、あんまり良く見る気にならずに頭を下げていた。
けれども彼女がちゃんと見てと言うので顔を上げた。

そこにはブラックホールがあった。
僕はそれに吸い込まれて、脱出不可能になってしまった。
僕は見とれてしまった。
君は声を上げて笑った。
僕もつられて笑った。

君の笑顔は僕にとってのブラックホールだ。


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