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忍者猫さん

オタクほど突き詰めてませんが、特撮とSFが好きです。

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将来の夢 悠々自適
座右の銘 他人に思想をひけらかすのは止めよう。

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黒板に

17/08/07 コンテスト(テーマ):第141回 時空モノガタリ文学賞 【 黒板 】 コメント:0件 忍者猫 閲覧数:136

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 黒板に向かって、芽衣子はかつかつと書き込む。
「教室でボヤが起きたのは、午後三時。学年末試験が始まっているから、教室にいた人間は居ない筈」
 『ボヤ発生』、『午後3時』、『無人』と書かれた横に、来人が癖のある右肩上がりの字で『採点中の教師』と足した。
「そうでもないよ、他人が居ると集中出来ないとか、字が汚ないのを気にして担任教室で採点やってる先生居るぞ」
 芽衣子は肩を竦めると、隣のポニーテールの少女にチョークを渡した。渡された由佳の方は、フムフムと言いつつ『教室』から矢印を引っ張って『体育館』と書いた。
「そのボヤ騒ぎの間に、体育館で生徒が死亡っと」
「舞台の上でか?」
「そう言う漫画無かったかな?」
 来人が突っ込むと、椅子の背もたれに顎を乗せて座っていた昂が聞いてくる。それに対して、立てた人差し指を振って由佳は答える。
「ノンノン、バスケのゴールで首吊りね。自殺か他殺か、そこが問題」
 カッカッカと、音を立てて『自殺?他殺?』と書き込むと、由佳はチョークを上級生の真依に渡した。
「ちょっと、被害者のプロフィール無いじゃん。運動部のガタイの良い奴と、文化部の一年女子だったりすると、身長体重めっちゃ違うし?」
「文化部でも体重ごついのもいるし、運動部でもミニマム居るぞ?」
 真依のぼやきに、昂も付け足す。
「試験中なら、放課後は体育館に人居ないんじゃないか?」
「あら、成績優秀者の運動部員なら、試験中の練習許可貰ってるでしょ」
「それだと、ボヤの前に見付からね?」
 昂へ芽衣子が反論するのに、更に来人が切り返す。
 俺は、ここまでだろうと思って、手を叩いて皆の注意を引いた。
「皆、そろそろ時間だから今日はここまで。

 舞台立てはこれで良い、明日は具体的なトリックと被害者とを考えよう」
 俺達は創作同好会、今日は文化祭に出版予定の創作推理小説の為のブレインストリーミングを行っていたのだ。
 挨拶を終えると、三々五々仲間達は帰っていく。最後に俺が黒板を消して、ここで何をやってたかは誰にも判らない。
「これで完全犯罪成立。……なあんてね」
 薄く笑い、俺は教室に鍵を掛けた。


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