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Sage.Nさん

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黒板の数字たち

17/08/06 コンテスト(テーマ):第141回 時空モノガタリ文学賞 【 黒板 】 コメント:0件 Sage.N 閲覧数:227

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 あるところにある、ある学校の、ある教室の黒板に、数字の1が書かれていました。1ばかりではありません。2も3も、4も5も6も、7も8も9も、10まで書かれていたのです。
 その数字たちは、しきりにおしゃべりをしています。数字がしゃべったりするでしょうか? するんです。そこは、まあ、お話ですからね。
「見て、3さん。あの子の貧相な体つき。いまにもポッキリ折れてしまいそうよ」
 いじわるそうな声を出すのは2です。
「本当だ、情けない。なんならおれが折ってやろうか」
 と息巻くのは3です。
 そこへ、3によく似た8がやってきて、煽り立てます。
「いいぞ、いいぞ、3。やっちまえ」
「や、やめてよぉ……」
 と1は、あわれっぽい悲鳴を上げました。
 すると、
「待てい!」
 正義感の強い5がやってきて、3を押しのけます。
「なにすんだ、この野郎!」
「なにすんだとは知れたこと。弱いものいじめなど、恥ずかしいとは思わんのか、3。この5が成敗してくれる」
 いよいよ大喧嘩になろうというところで、一番大きな10が割って入りました。
「待ちなさい。みんな同じ数字同士、仲良くしようじゃないか」
 そこへ、普段から10を目の敵にしている9がやってきて、口を出しました。
「けっ。なにを偉そうに。いくら威張ったって、おまえなんか、十の位と一の位に分けたら、1と0じゃないか。このなかで一番小さな1と同じだぞ」
「なにを。君なんか、逆さに書くと6になってしまうくせに」
 と10がいい返せば、
「なんです、その言い草は。まるで僕が悪い数字みたいじゃありませんか」
 と6が憤慨します。
 脇のほうでは、われ関せずといった顔で、4が7を口説いています。
「7さんは、今日もスマートですねえ」
「あら、ありがと。4ちゃんも素敵よ。立ち姿がかっこいいわ」
 7もまんざらではないようです。
 こうして、4と7のふたりは黒板の隅でいちゃつき、それ以外は大喧嘩という、混沌とした状況になってしまいました。
 と、そこへ、この日の日直のFさんが、あわてて教室に戻ってきました。
「やっべー、やっべー。黒板消し忘れてたー」
 そういうと、さっさと黒板に書かれた数字たちを消してしまいました。
 みんな仲良く消されてしまったので、いま、黒板にはなんの数字もありません。
 これが、0ということです。


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