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笹岡 拓也さん

文章で笹岡 拓也の世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
将来の夢 自分の作品を多くの人に読んでもらうこと
座右の銘 生きているだけで幸せ

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子どもが夜中に泣いたら

17/08/04 コンテスト(テーマ):第140回 時空モノガタリ文学賞 【 育児 】 コメント:1件 笹岡 拓也 閲覧数:1196

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「俺も一緒に見るよ?」
私はこの言葉にどれほど助けてもらっただろう。子どもが産まれてから、私だけが見なきゃいけないと思っていた。夫に助けを求めないように子育てに励んでいた。産まれてからしばらくは、3時間ごとに授乳をしなきゃいけないものの子育てをしているという実感に浸っていた。しかし子どもの首が座り、寝返りをするようになり、ハイハイをするようになり、いたずらをするようになり、つかまり立ちをするようになり。たくさんのことを学ぶ子どもは、夜中何度も泣くようになった。きっと新しいことを覚えすぎて頭が疲れて寝付けないのだろう。分かっているけど、私の体も心もボロボロになっていた。きっと舌打ちやら文句やら言いながら子どもをあやしていただろう。それも分からないほど子育てに不快感を抱いてたんだ。
そんな私に夫は言ってくれた。私は今まで一度も夫に頼ろうとしなかったし、産まれる前に「私頑張るから、あなたは仕事頑張ってね!」と言っていた。だから夫は私に今までそんな言葉を掛けてはこなかった。しかし私の限界に達する表情、言動にとうとう声を掛けてくれたんだ。
「ありがとう。強がってた。助けてほしい」

この日から子育てがとても楽になった。そうは言っても夫が育児を何でもかんでもやってくれるわけではない。やれたとしてもオムツを替えてくれたり、お風呂にいれてくれたりする程度だ。
ただ私の心も体も楽にしてくれた。それは夜中子どもが泣きじゃくってる時、一緒に起きてくれたからだ。子どもは夫が抱っこしようとすると嫌がるので、私が抱っこしてあやす。その間、夫は重たい瞼を開けて私に話しかけてくれる。
「この前テレビで大きな公園が出てさ、この子が大きくなったら行こうか」
「今度の休みは久しぶりにランチしに行かない?赤ちゃんも平気らしいからさ」
夫は私が喜ぶような話をたくさんしてくれる。きっと寝る前に色々考えてくれてるのだろう。子どもが泣いていても、楽しい話をしながらあやせば嫌な気持ちはどこかへ消えていった。
そして最近夫は話だけじゃなく夜中にも関わらず、ちょっとした遊びをしようと提案してくる。
「赤い物だけでしりとりしない?」
夫はしりとりをしようと言ってきた。しかもただのしりとりではなく、赤い物だけという縛りがあるしりとりだ。しりとりなんて子どもの頃やったきりで、久しくやっていない。でも夫が誘ってくれたから、私は子どもをあやしながらしりとりをすることにした。
「じゃあ俺からね。【カナダ】」
夫はいきなり赤い物と言っていいのか微妙なもので答えた。
「カナダ?あー国旗の色か。じゃあ【ダルマ】」
意外にもすんなり私は赤い物が思いつく。もしかして私はしりとりが得意なのかな?
「ま?ま、ま....【マッチ棒の先】」
夫の奇想天外な答えに私は笑いが止まらなかった。私は子どもをあやしながら大きな声で笑ってしまった。しかし子どもは私の笑い声に気づかないほど寝ていた。きっと子どもも私たちが楽しそうにしている方が居心地がいいのかもしれない。
もう私は夜中に子どもが泣いても不安になったり苛立ちを覚えないだろう。夫と一緒に過ごす夜中がこんなにも楽しいものになるとは思わなかった。


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このストーリーに関するコメント

17/09/30 光石七

拝読しました。
うわべだけ育児を手伝うのではなく、奥さんの心を軽くしてくれた旦那さん。本物のイクメンだと思います。
素敵な旦那さん、素敵な夫婦ですね。こういう夫婦のもとでなら、子どもものびのびと健やかに育ちそうです。
勿論子育ては大変なことも多いですが、この夫婦なら大丈夫だと思うし、応援したくなりますね。
心が温まるお話をありがとうございます!

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