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月影輝さん

好きがこうじて、小説をのーんびり書いてます。宜しくお願いします。

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書き足した言葉

17/08/01 コンテスト(テーマ):第141回 時空モノガタリ文学賞 【 黒板 】 コメント:1件 月影輝 閲覧数:259

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コツッ…コツッ…コツッ…

指揮棒が、机の上をリズミカルに踊る…

「…。」
「ほー。俺の授業に居眠りね」

周りの視線が痛い!

「そんなに、俺の授業は眠いか?小柳」

昨日夜遅くまである事で考え耽ってたせいで、我ら2A担任の溝口の授業中に…

「いえ…すみません」
「ほんと、お前という奴は…」

不気味に笑う溝口は、俺に黒板消しを命じた。

「ほんっと…バカみたい…」

ケラケラと笑いながら、一緒に璃央が手伝ってくれたから、早くに終わった。

「なっ、ひとつゲームしね?」
「えーっ?!ゲーム?やぁだ!!出来ないの知ってるじゃん。」
「ばーか。そのゲームじゃねーよ。絵だよ。絵!」

悪戯っぽく笑いながら、璃央を見る。

「絵か。まっ、お互い美術部だもんね。でも、どこに?」

少し小首を傾げながら、俺を見る。

「それ…」

綺麗になった黒板を指差し、璃央は呆れながら、

「えーっ?!さっき、綺麗にしたのに?」

と言うが、顔は笑ってる。

「うん。題材は…」

なるべく大きいのがいいな、大きいの…

っ!!

「ここだ…。」

床を指差す。

「ここって?」
「学校全体。俺が、校舎の外観を描くから、璃央はグランド」

窓からグランドを覗くと、幸いな事に部活をしてはいないのがわかる。これなら…

「いいよ」

黒板の真ん中に薄く線を引き、

「俺が、此方から描くからお前はあっちから描く」

璃央は、小さく頷いてチョークを幾つか手に、黒板の左端に進んだ。

正直、こんな手にこいつが引っ掛かるとは思わなかったが…やるしかない!!

俺と璃央は、この学校に入ってから部活を通じて話すようになり、いつしか俺は、璃央を目で追い、恋心を抱くが告白が出来ないでいる。

放課後の教室。
チョークを走らせながら、課題の話や溝口Tの愚痴を言ったり、好きなテレビ番組の話に華を咲かす…

「…でね、パパったら酷いんだよ!!璃央が、折角テレビ見てたのに…」

専ら、璃央の話を聞かされるが、なんとなくその光景が頭に浮かぶ。

「また、チャンネル変えたんだ。」
「そぉなのっ!パパ、野球の事になると周りが見えなくなるみたい…」

璃央の親父さんは、大の広島ファン!!出身は、東京なのにな…

「結局、観たかったGENKI-KID観れなかったー!!あっ…」

ガクッと音がし、白のチョークが2つに折れたが、

「らっき!増えた!」

なんでもいい方に捉えるのは、璃央の良いところ。
段々と二人の距離が、近付いていく。

「なぁ、お前。今日の昼休み…」

そう言った途端、璃央の動きが止まった。

「なんかあったっけ?」

すっとぼけんな!俺、お前があいつに誘われて、校舎の裏に行ったの知ってんだぞ!!あとつけてたんだからな!!

「なんか、言われたの?杉本に…」

再び、チョークの音がやむ。

「べっつにぃ!!話してただけだよ?」

校舎の裏でか?隠れるように?何の話?!

「もしかして、告白…」
「…ないから!!」

少し俺を睨んだが、また黒板に目を戻し、描き始める。

璃央は、わりと可愛いし、狙っている奴等もいる。そこそこ告白はされてるらしいが、全て断っているらしい。

好きな奴いるのか?

「ね、描けたけど?」

チラッと璃央が描いたグランドを見ると、野球のバックネットもライトや木々も…

「はぁっ?!早くね?つか、なんでトラック?」

慌てて窓から覗くと…

明日の球技大会での準備の為か、グランドにトラックが数台入ってる。

「邪魔だな。消せ…」
「いいの?消しても…」

キュッキュッと高い音を立てながら、璃央はトラックの部分を消していた。

「峻は…居ないの?」
「へっ?なにが?」

段々と校舎が、完成しつつある。
あと少し…

「好きな人…」

ボキッと音が立て、チョークが粉々に砕けた…

「……別に…」

かなり動揺したが、幸いな事に璃央は俺を見る事なく、教室から出て手を洗いに行った。

昨日、考えに考えたこと。
告白も考えた。ラブレターも考えた。
だが、普通にやってもインパクトがないし、成功する自信すらなかった。

濡れた手をハンカチで拭きながら、璃央は戻り再び…

「峻って、モテるよね?」
「さぁ?俺、んなイケメンじゃねーし。よし、終わった!」

璃央は、窓に持たれながら、絵を眺める。

「うまいね」
「部長を舐めんな。な、ちょっと、目瞑っててくれん?」

なんとなく、照れ臭い。

「うん。」

璃央が、目を閉じてる隙に…

「いいよ。」
「えっ?」

彼が、彼女の絵に付け加えたもの…それは…

『大好きだ!』

そして、彼女の答えは…

「私も…好き…だから…」

そう言った璃央の顔は、夕陽を浴びてオレンジに染まっていた。


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このストーリーに関するコメント

17/08/21 トツナン

拝読しました。
放課後の教室で黒板に向かう二人。ゲームと称した黒板アート。他愛のない会話。その背後に見え隠れする相手の心情を探り合うような緊張。そして完成した黒板アートに書き加えられる一言。これはもう、罰掃除の出来を確認するであろう担任・溝口氏も赤面せずにはいられないことでしょう。

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