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しおこんぶさん

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ずっと一緒

17/07/16 コンテスト(テーマ):第138回 時空モノガタリ文学賞 【 猫 】 コメント:0件 しおこんぶ 閲覧数:168

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 お久しぶりです。お元気でしたか?やっぱり予想通り。この公園で待っていればあなたと会える気がしていたんです。いやいや、そんなにびっくりした顔をしないでください。そりゃまあ、あなたと会うのは本当に久しぶりですが・・・。10年ぶり?いや、15年ぶりですか。月日が経つのは本当に早いですね。この15年間、何をしてらっしゃいましたか?特に変わりない?そうですか。私の方は本当にいろんなことがありましたよ。少しお話ししませんか?立ったままじゃなんですから、あそこのベンチで。時間がない?少しくらい付き合ってくださいよ。私はあなたと話したいことが山ほどあるんだから。
 
 覚えていますか、今私たちが座っているこのベンチ。昔よく一緒に来ましたね。覚えていない?そうですか。私はよく覚えていますよ。ここからの眺めがこの公園の中で一番綺麗だから、このベンチは私たちの特等席で、今みたいにこうやってよくベンチに座って、一緒に夕焼けを眺めたり、何の理由もなくぼんやりとしてみたり。私はこの公園、本当に好きだったんですよ。でも、あなたは大きくなるにつれて、少しずつ変わっていった。初めて私たちが出会った時、あなたは私に「ずっと一緒だよ。」って言ってくれたのに、あなたにはたくさん友達ができて以前のように私と一緒に遊んでくれなくなっていった。私はそれがものすごく寂しかった。だから、15年前、一緒に公園に行こうとあなたからお誘いを受けた時私がどれほど嬉しかったか、きっとあなたには想像がつかないでしょう。
 あの日は確か満月でした。一緒にベンチに腰を下ろしてしばらく月を眺めていた。夜の公園は月明かりに照らされて、昼間とはまた違った幻想的な雰囲気を醸し出していた。ふとあなたが池の方にいってみようと言いましたね。私は水が嫌いだから池のそばなんて行きたくもありませんでしたけど、せっかく久しぶりにあなたと一緒に公園に来られたんだからと一緒に池の方に歩いていった。池の水は鏡みたいに満月を写してキラキラと輝いていて、それはまあ、本当に美しかった。それから・・・、え、何ですか?
 もう聞きたくない?
 どうしてですか?これからが話の本題なのに。それにしても、大丈夫ですか?顔、青いですよ。猫が話すのがそんなに珍しいですか?大して珍しくもありませんよ。言葉を話すのは人間だけというのは人間たちの勝手な思い込みにすぎないんですから。我々猫は皆死と引き換えに何か一つ力を持つことが許されるのです。死んだら終わりなんかじゃありませんよ。死んでからが始まりなんです。私は死と引き換えに人間の言語を話す能力を手にしました。
 
 覚えていますか?覚えていますよね。私は猫です。15年前、この公園であなたに池の中に沈められて死んだあなたのペットだった猫ですよ。
 嘘だ?
 いいえ、私は何も嘘なんかついていませんよ。ああ、でも誤解しないでください。私は何もあなたに復讐するためにわざわざやって来たのではありません。きっとあなたにもそれなりの事情があったのだろうと理解しているつもりです。私はただ、あなたとの約束を果たすためにここに来たのです。ほら、私が初めてあなたの家にやって来たときにあなたが言ってくれたあの言葉。「ずっと一緒だよ。」って。あの日から今日まで私は一度だってあなたの言葉を忘れたことはありません。さあ、一緒に逝きましょう。嫌とは言わせませんよ。だって、私たちは「ずっと一緒」なんですから。


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