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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

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そのメンバー有害につき

17/06/19 コンテスト(テーマ):第136回 時空モノガタリ文学賞 【 音楽 】 コメント:0件 石蕗亮 閲覧数:225

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 深夜番組で料理を見ると食べたくなってしまうのは何故だろう。
こんな夜更けでもコンビニがあるせいで食べたくなったら行ってしまう。
さすがに日付が変わった後では客は自分しか居ない。
店内にはラジオ放送らしきものが流れていた。
深夜だというのにかなりロックな旋律と意識せずにはいられない不思議な歌声に耳を持っていかれてしまった。
性別の判らない声。
力強いドラム。
想像できない程速弾きなギターの音。
濃厚で重厚で芳醇な音の塊が驚く程纏まってひとつの曲を成していた。
それを彩るような声。
曲調はヴィジュアル系のような激しいものなのに胸が詰まるような、否、何かがこみあげてくるような衝動があった。
曲が終わって初めて我に返った。
今の曲についての情報が流れないかと耳を澄ませながらコンビニの棚を物色し始めた。
すでにさっき深夜番組で見た料理のことなど失念していることにも気づいていなかった。
「えー、お聴き頂いた曲はトンネンブラでサマーディ。
今日はこのトンネンブラをゲストにお送り致します。
はい!毎世お馴染み恨めしや〜。貴方の心の背後に忍び寄るぅ。丑三つラヂオでございますっ」
!?
思わず音のする上を見上げるがコンビニの天井しか見えない。
いや、天井を見たかったわけではない。
何とも言えないラヂオ番組名に思わず音のする方を見てしまっただけなのだ。
たまに流れるこの番組はいつもツッコめそうでツッコめない内容を放送する。
しかし一旦聞き始めると最後まで聞かずにはいられない不思議な番組なのだ。
それに今はこのアーティストが気になって仕方が無い。
「ではまずトンネンブラのメンバーを紹介したいと思います。
ドラム担当でリーダーの雷神。
ギター担当は日本ではお馴染みの弁天様。いやーお美しいですね!恨めしい!あ、誉め言葉ですよ、これ。
次にベース担当オルフェウス。
そしてヴォーカルのセイレーン。
和洋折衷の凄い組み合わせですね!」
全くだ!と思わず同意。
「リーダーの雷神さん、なんでこのメンバーが揃ったんです?」
 「儂はな、お目付け役なんだよ。元々は他3柱がやっていたんだが。ほら、こいつら色々と…(察しろという気配)」
「あー、まぁ、武勇伝のある方々ですからねぇ」
 「1柱でも十分実力があるのにそれが3柱も揃ってしまったからな。各主神達から勅命が下りてな」
「そうでしたか。では何故この御三方が揃ったのか聞いてみましょう」
 「はい、ベース担当のオルフェウスです。僕が竪琴を奏でると女性は喜んでくれるんですが。僕は性別問わず満足させたいんです」
「そうだったんですか。私はてっきり女ったらしかと思っていたんですが」
 「失礼な私は女性も男性もどちらもいけます!」
「恋人の魂を追って冥界まで行った男の言葉とは思えない程のカミングアウトですね。好きですよ〜、そういうの」
 「で、そこに寄ってきた女共の男運や縁を切ってるのが妾じゃ」
「あ、弁天様。やっぱりそういう立ち位置なんですね」
 「切っても切ってもこの男ときたら奏でる竪琴の音で縁を結んでしまう。おかげで集まるのは女のファンばかりじゃ!
憎らしいからこの男以外の男の縁も切ってやっておる!」
「ま・さ・に・八つ当たりですね!その綺麗なお顔から零れ出る怨嗟のお言葉。このアンマッチが堪りません。
そして最後にヴォーカルのセイレーンさんは?」
 「海で歌うの飽きた」
「単純明快な理由ですね!」
 「陸の方が人沢山。入れ食い」
「貴方の場合本当に人食ってましたからね。笑えません」
 「海は男ばっかりだったけど、ここでは女性が多いから新鮮」
「新鮮が食的な意味でないことを願ってます。
さてこんな魅惑能力たっぷりのユニット名ですがどんな意味があるんですか?」
 「プロデューサーの名前そのままなんです」
「私の気が確かならクトゥルフ系の音楽家ですよね?」
 「はいX4」
「お前らヤル気満々じゃねーかっ!これは雷神リーダー次第で終末きますよ!頑張ってまとめてくださいね!」
 「3柱がそれぞれ方々でやらかすくらいなら、一か所にまとめておいた方が管理しやすいというのが上の判断ですが。
まぁ、遅かれ早かれでしょうね。笑」
「笑えません。が、今人気沸騰中なのは確かなんですよね。というかもうほとんど強力な呪詛ですが。
では最後に涅槃を意味するニルヴァーナという曲で番組のお別れとしたいと思います。
では皆さん、正常でいられたらまた来世のこの時間にお会いしましょう。では、呉々も安らかにお休みなさい」
その後流れた曲は官能的で排他的で絶望するのに十分なメロディーと歌詞だった。
ような気がする。
気が付くと朝でベッド下の隙間で目が覚めた。
数日後近所のそのコンビニが閉店していた。
あー、SAN値下がりきったんだな。と独り納得している自分が居た。


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