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tomoyaさん

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採音マニアへのクイズ1

17/06/19 コンテスト(テーマ):第136回 時空モノガタリ文学賞 【 音楽 】 コメント:0件 tomoya 閲覧数:146

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ある朝方、いつものように音の採集をしているときに、工場前の公園でサラリーマン風の男に出会った。
「あのう、あなたのスマホと私のスマホを2時間だけ交換しませんか?謝礼はお支払いします」
そう言うと男は自分の免許証と封筒に入った10万円を見せた。
突然のことなので驚いたが、断ろうと口を開きかけた瞬間。
「先ほどから工場の写真をお撮りになられている様子が見えました。私は工場の中に入ることができるので、よろしければ写真もお撮りします。操作する必要がない機能は、スマホの制限を掛けていただいても構いません。私の方は私のスマホが、その時間この辺りから離れていることを証明さえできれば良いのです」
写真を撮っているだと勘違いしているようだ。その時こっそり録音モードにしてしまうことを思いついた。それで前々から別の人が行動した音に興味があったので承諾してしまった。お金も魅力的だった。
GPSでお互いの場所を検索できるようにして別れ、10万円と共に僕は市内に向かった。用事がすんだら僕の場所に来てもらう予定だ。

その間、僕の携帯はずっと工場の中にあった。
2時間弱の時間がたち連絡がきた。近くの車庫にいるというので来てほしいとのこと。
約束が違ったが別に距離があるわけではないので、行くことにした。
男は「ありがとう。助かったよ」といって携帯を交換した。僕は携帯の制限に異常がないことを確認すると足早にその場を離れようとしたが、入れ違いに厳つい男が入ってきたので、好奇心で気づかれないようにその場に戻り隠れて録音した。

いきなりブヅキューンという拳銃を撃つ音。
「ななんだよ、何をするんだ。撃つことはないだろやめてくれ」
「なんで拳銃なんて持っているんだ、必要ないだろ」
カッガチャリという手錠が地面に落ちる音。
「お前が会社の金を持ち出すから悪いんだろ」
「命は助けてやるからその手錠をつけろ、会社に戻って仲裁してやる」
ジッャリというコンクリートの地面に爪を立てる音。
「連中が許すわけないだろ、それはわかっているだろ」
「見逃してくれ出ないと俺は・・・」
ズッサーキという走るときにスニーカーが地面に擦れる音。
ブズキューンという拳銃を撃つ音。
そしてガチャーンという間抜けな僕が近くにあった机の脚を蹴ってしまい隠れているのが見つかる音。

僕はあの手錠を付けられ車に乗せられ目隠しをされて、おそらく男の会社に連れていかれた。ドクドクという音が心臓から出ているのがわかる。どうなるのだろうか?
「君は浅川優一君っていうんだね」
唐突に声が聞こえた。
「君が盗み出した金塊は単に貴重品というだけでなく、会社の取引に必要な重要なものなんだ、会社の信用に係わる返してくれないか?」
厳つい男とは違う痩せた声の主が、穏やかだが抑制的に話しかけてきた。
「もし返してくれれば、君のことは無事に帰してあげよう」
僕が関係がないことを弁明しようとすると厳つい男の声が遮った。
「お前が金塊を返すというから、殺さずにここまで連れてきたんだ。約束通り金塊を隠している場所を言ってもらおうか?」
僕は一瞬にして何のことか理解した。車庫にいた二人が協力して金塊を盗んだのだろう、それにおそらくあのサラリーマンも無事なはずだ。とりあえず不用意に弁明するのをやめた。
考えてみた、痩せた声の主は誰が盗んだが知らないのだろう。それに男たちはなぜ車庫で僕を殺してしまわなかったのだろう。
「では私はこれで失礼します」というと歩く靴の音が続き扉が閉まる音がした。
不思議に感じていると、目隠しが外され、初老の男が見えた。
「本当に君が金塊を盗ったのかね?」
僕はこれまでのいきさつと車庫の2人の憶測を話した。初老の男は扉の鍵をかけてこちらを振り返って言った。
「君は勘が鋭いね、おそらく2人が金塊をとったのだろう」
スーットという初老の男が大きく鼻から息を吸う音。
「さっきここから出て行った男は、金塊が盗られたとき私と一緒にいた。おそらく私が知らないそのサラリーマン風の男が盗っていったのだろう。何とか金塊がある場所がわからないだろうか?さっきも言ったように金塊が返ってこれば、君を解放しよう」

スマホは工場内から出ていないので、おそらく金塊も工場内にあるはずだ。録音しておいた音を聞いてみた。だがどうにも録音された音と時刻だけでは正確な場所がわからない。何の音か分かれば場所も分かるはずだ。
「日が明るいうちは工場内の監視はできるが、暗くなると忍び込まれてしまうだろう。それまでに探してもらわないと君に罪をかぶってもらうことになる」と初老の男が言った。
もう時間がない!
日暮れまで5時間!

一縷の望みをかけて、いつも利用している採音サイトに投稿して聞いてみた。
スマホに録音されていた音が何か?気を引く謎めいた文章とともに。


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