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seikaさん

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将来の夢 生まれ変わること
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紅白なんか、見ないよーっ

17/06/17 コンテスト(テーマ):第136回 時空モノガタリ文学賞 【 音楽 】 コメント:0件 seika 閲覧数:135

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紅白の視聴率は99%だった。年末になると街中では誰もが紅白ネタで盛り上がる。紅白では山崎ハコが「たどり着けばいつも雨降り」を歌い、子供バンドが「たどり着けばいつも雨降り」をうたい、大友康平が「たどり着けばいつも雨降り」を歌い、ラベンダーもとモー娘のユニットが「たどり着けばいつも雨降り」を歌い、そして元祖モップスが「たどり着けばいつも雨降り」を歌っていた。また洋楽版ではCCRがhave you ever seen the rainを歌い、ロットスチュワートがhave you ever seen the rainを歌い、ジョンジェットがhave you ever seen the rainを歌い、下北沢で結成されたガールズバンドがhave you ever seen the rainを歌うというものだった。だから年末は紅白ネタになる。
「あの歌はやっぱ子供ばんどだね・・・。ハードロック調の・・・」
「大友康平もしぶくなった。ドスの利いた声なら大友が一番だ。E YAZAWAみたいにスタンドマイクふりまわしちゃってさ。」
「やっぱなんといっても元祖モップスだ。鈴木ヒロミツが霊界から特別参加するらしい・・・。」
「お盆でもないのに霊界現世界間キュウリ馬が出ているの?」
「最近は温室でキュウリ作るから一年中霊界現世界間きゅうり馬は出ているよ。」
「なにいってんだい、最近はキュウリランボルギーニやキュウリオスプレイもあるよ。鈴木ヒロミツはきゅうりで作ったパガーニゾンダで駆けつけて紅白に参加するらしい・・・。」
「パガーニゾンダ、知っている人は少ない。」
「やっぱり元モー娘ラベンダーだよ。黒のレザーショーパン姿がエロっぽい。大友や鈴木みたいな迫力は無いけど、エロカワイイ。大友や鈴木のレバーショーパン姿なんて見たくないじゃないか、」
「それもそうだ。しかしあのうちで大友康平は和田アキコとデュエットしたらしい。」
「アレはデュエットとはいえないね。松尾和子と和田弘とちがう。」
「それをいうならフランク永井と松尾和子の東京ナイトクラブ」
「紅白に杉並児童合唱団が出て、あのクダラネー歌、『ぼくらはみんな生きている』を歌ったら超ダサい。ブルマ姿で歌ったりして・・・。」
そういう紅白ネタで盛り上がるのだ。
日本一のドイツ文学者戸舞賛歌の娘詩織は、戸舞賛歌が紅白を見ている人を裏切り者扱いにして、トップロープからお腹にニードロップを落とすことは知っていた。だから紅白を見たいともいえないのだ。しかしみんな紅白ネタでみている。だから詩織も必死でその話題についていこうとしていた。

そして大晦日、戸舞家ではエネーチケーNHKニュースは見る。下町の人間である戸舞賛歌は年越しソバだけは食べる。しかしニュースが終わるとチャンネルはすぐさま「N響アワー」に。すると弦楽器の音合わせをしている。コレを見る事が詩織はなんとも苦痛なのだ。

そして紅白が始まった時間、戸舞賛歌は詩織たちに
「おい、散歩に行くぞ。ついて来い。」
と命じる。大晦日みんな紅白を見ているから散歩している人なんて居ない。あちこちの家から紅白の音声が聞こえてくる。それを聞いて戸舞賛歌は大きな声で
「紅白なんか見ないよーっ、」
と絶叫する。そして
「さあ、皆さんご一緒に!」
と詩織たちにも掛け声を上げることを強要する。仕方無しに詩織も
「紅白なんか、見ないよー。」
と声を出す。しかし戸舞賛歌は声が小さくて面白くない。
「何だその小さな声はっ。もう一度、口を大きく開けて、一、二、三、はいっ!」
「紅白なんか、見ないよーっ。」
詩織は泣きたい気持ちでそういった。
すると悪がきの家のカーテンが開いた。そして
「お、あいつら紅白見てねーぞ。」
と得意になった。

そして行く歳月がたった。タイのバンコクにいる詩織から戸舞賛歌に
「どうしてくれる!!過去を償え、償えなかったらすべてを破壊しつくす。」
という手紙が届いた。戸舞賛歌は顔面蒼白になった。
「出来るだけ詩織から遠ざかりたい。」
とオーロラの名所、カナダのイエローナイフに一人で行き、厳寒の中、軽装で原生林に入った。
そして夏、イエローナイフの原生林で東洋人男性の遺体が見付かった。日本一のドイツであり、ドイツ文学界の奇才、戸舞賛歌だった。この戸舞賛歌の死を受けて急遽戸舞賛歌の売れない小説
「神聖ローマ帝国でにぎりっ屁をかぐ楽しみ」
をアソコ出版から、また
「ゲップと一緒に食べたものが出てきたときの思い出、ザルツブルクから。」
を別著社からそれぞれ発表された。これは書店古書店図書館しか知らない戸舞賛歌の知識が沢山詰まった教養小説ともいうべきものだった。もちろんまったく売れなかった。


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