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つつい つつさん

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あの頃の友達

17/06/04 コンテスト(テーマ):第135回 時空モノガタリ文学賞 【 休日 】 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:356

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 朝九時、部屋でくつろいでいると、ドアを激しくドンドンと叩く音がして慌てて開けると、母さんが血相を変えて立っていた。
「稔、なんか変な人が来たの。どうしよう。警察呼んだほうがいいかな」
 母さんを落ち着かしてから話を聞くと、誰かが訪ねて来たのでインターフォンで応対すると、変な男が「みのりくーん、あっそっぼ」って、大声で手を振っていたそうだ。確かにそれはおかしかった。三十を過ぎた僕のところへ、土曜日のこんな朝早く遊びの誘いなんて、まともな人間のすることじゃなかった。
 警察に電話する前に僕も一応どんな男が見ておくことにして、インターフォンの画面を確認すると、そこにはサングラスを掛けたチンピラみたいな格好をした男が立っていたので、「あの、どんなご用でしょうか?」と、おそるおそる呼びかけてみた。
「おっ、稔か。俺だよ、俺。忠志だよ、覚えてないか?」 画面越しにサングラスを外し男が手を振っていた。よく見ると、確かにそれは忠志君だった。。
 玄関を開けると忠志君は満面の笑みを浮かべて、「久しぶりだな」と、僕に抱きついてきた。
「急にどうしたの?」って聞くと、「昨日たまたま駅でお前見かけたからよ、懐かしくて来ちまった」と、照れた様子で頭を掻いていた。だけど、懐かしいからって大の大人がいきなり訪ねてくるか。それもこんな朝早く。昔からそうだったけど、忠志君は相変わらず強引でマイペースで、よくわからない人間だった。
 玄関の奥から様子を窺っていた母さんは、さっきまで怯えていたくせに「あら、忠志君、久しぶりじゃない」と、出てきて、忠志君をリビングへと迎え入れていた。
 忠志君とよく遊んだのは確か僕が小学校五年生の時だった。忠志君は二つ上の中学生だったけど、ぼくらが公園で野球やサッカーをしていると知らないうちに寄ってきて気づけば一緒に遊んでいた。子供心に学校に友達がいないのかな、なんて思っていたけど、忠志君はいじめられてたとか、仲間はずれにされてたっていうのとは違って、何か人とずれていて、知らずに相手されない感じだった。
 家に上がりこんだ忠志君はすぐに母さんと打ち解け楽しそうにおしゃべりをして、お昼になるとなぜか忠志君のリクエストでピザまで頼み、僕が代金を払わされた。
 昼過ぎになり忠志君に「これから予定があるんだ」って切り出し、ようやく解放されると思ったのに、当たり前のように「何?」って聞いてきた。仕方なく「彼女と会うんだ」って答えると「俺も一緒に行くよ」と、信じられない答えを返してきた。そして、幸か不幸か僕の彼女の亜美もそういうのをおもしろがるタイプだったから、事情を説明すると、まさかのOKが出た。
「ナイス、ストライク!」と、忠志君が亜美に声をかけると、亜美もガッツポーズをしながら振り向き、二人は嬉しそうにハイタッチを交わしていた。僕はボウリングの玉を抱えると、なぜこんな状況になっているのか理解できないまま構えると、「稔、お前だけだぞ、ストライク出してないの」と、忠志君にせかされボールを投げると、僕のボールは無惨にもガーターに吸い込まれていった。
「稔は、ゲームはうまいのに、実戦はだめだな」と、忠志君がつぶやくと、亜美も嬉しそうにうなづいている。会ったばかりだって言うのに二人は妙に気があって、ずっと楽しそうだった。
 夕方になり、僕はいつまで忠志君いるんだろうって内心もやもや考えていると、「またな、俺は帰るよ。これ以上邪魔しちゃ悪いからな」と、常識人みたいなこと言って去っていた。なんだかんだ言って忠志君も大人になったんだなって少し感心した。そういえばなぜ忠志君と遊ばなくなったんだろうって考えていると思い出した。それは、忠志君と同級生が起こした事件のせいだった。
 忠志君と同級生達は、度胸試しに誰がコンビニで一番高いものを万引き出来るかで勝負したらしい。ジュースやお菓子をみんながびびりながら万引きする中、忠志君は、とりあえず盗ってくればいいんだなってコンビニのカゴいっぱいに商品を詰め込んでそのまま平然と店を出たらしい。いっぱいの買い物かごを持ったまま悠々とレジも通さず出ていった忠志君はその場で注意こそされなかったが目撃者に中学校に通報され大問題になった。そして、その噂が地域にも広まり僕達も忠志君と遊ぶのを禁止された。
 いろいろ思いだし、せっかく久しぶりに会ったのに連絡先も交換してなかったなって少し後悔した。そんなことを亜美に話すと、「あれ、忠志さんならライン交換したよ」って、携帯を見せてきた。
 なぜ僕の彼女に断りも無しに勝手に連絡先交換してんだって腹が立った。大人になったなんて感心して損した。やっぱり忠志君はあの頃のままだった。それに、さっき「またな」って言ってたし、これからも忠志君につきまとわれるのかと思うと僕はなんだか頭が痛くなった。


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