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ジェームズボンバークライシスさん

ジェームズボンバークライシスです。 好きな作家はドストエフスキーと、ゲーテと夏目漱石と芥川龍之介です。よろしく。

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壊れたロックンロール

17/06/02 コンテスト(テーマ):第136回 時空モノガタリ文学賞 【 音楽 】 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス 閲覧数:181

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僕は誰もいない小さなライブハウスにいた。
ペグが外れ、弦もちぎれ、ボディとネックギターが分かれているギターの前で僕は、拳を握り立ち竦む。
そして、何度も何度も僕はギターに頭を下げる。
「ごめんよぉ・・・ごめんよぉ・・・。」
孤独の痛みを知って、ただ泣き叫ぶ。
「壊すつもりはなかったんだ・・・」
ギターは、何も言わなかった。

3年前の春
僕は「ジェーンズ」というバンドを4人で組んだ。
高校時代から根暗で、ギターばかり弾いてた。勉強もあまり好きな方ではなく、ギターが友達だった。
その後大学を卒業するも、やりたい事が見つからずコンビニ店員を続けていた。
そんな時、僕は同僚の八坂にバンドに誘われたのだ。僕は断る理由を探せず誘いに乗った。

八坂は、自宅のスタジオで、ドラム担当の伊藤とベース担当の倉永を紹介してくれた。
八坂はボーカルで、僕は勿論ギター担当だった。
それなりにみんな演奏は出来たし、作詞作曲は、全て八坂だった。
最初は渋谷の駅前での演奏だけで、人はあまり来なかった。
モチベーションは、上がりづらかったが八坂のポジティブさがモチベーションを上げた。

八坂は、活動するための予算は全額出資した。
八坂曰く、「金は余るほどある」らしいからとにかく使って使って使いまくりたいとか言っていた。
八坂は、素性を殆ど語ることはなく、「ただの」コンビニ店員としか言うことはなかった。
さらに、八坂は太っ腹で、作ったCDの売り上げは自分以外のメンバーで山分けさせた。
そして、徐々にファンも増えていった。

3年前の夏
僕らはライブハウスを借り演奏することになった。ライブハウスの手配は全て八坂が行ってくれた。
こうして、活動を続けていたそんなある日、僕はファンの一人に恋をした。

3年前の秋
僕は告白することにしたいと強く願った。
僕はツイッターで交流することを試みた。
彼女は、ジェーンズの公式ツイッターのフォローをしていた。
さらに彼女のアカウントのアイコンが顔写真だったため、彼女をすぐに特定できた。
僕は、新しく裏アカウントを作成し、彼女をフォローした。
その後、彼女は僕のフォロワーとなり、DMでの簡単な会話ができるようになった。
そして、自分がジェーンズのギター担当だと言うことを話した。
そして、自分が撮った写真を何枚か送る。
彼女は心を開いてくれた。
こうして、彼女と近所のレストランで会う事が決まった。
彼女の名前は、鈴木小百合と言った。
僕はすぐに彼女と意気投合した。
その後も僕は、彼女とDMで会話していた。

3年前の冬から2年前の冬にかけて
デートを繰り返した後、僕らは付き合うことになった。
彼女の幼気な笑顔を僕はずっと見れる事が何より幸福だった。
しかし、最近八坂が痩せてきているのが気になるところだ。
そのときは、僕がボーカルとギターを両立させた。

2年前の春
最近の八坂は、金を出資するだけで、何もしなくなってしまった。
電話をしても出ることはなかった。
知名度は上昇しており、メジャーデビューの話も持ちかけられるほどだ。
そして、殆ど3人体制としてバンド活動を行なった。
そんな中、バンド内では陰気な空気が漂っていた。
こうして、夏になろうとした時、
八坂の訃報を聞いた。

八坂は、首吊り死体で発見されたらしい。
バンドメンバーは、彼の訃報に涙した。
そして、一時休止することを発表した。
遺書を読むと、彼は恋をしていたらしい。
その相手は、なんと小百合であった。
さらに言うと小百合と何回もデートをしていたらしい。
しかし、小百合の気持ちが僕の方に行っていたため、様々な面でアピールを繰り返した。
しかし、小百合の心は開かず、そして彼は悩みに悩んで自殺をした。
その経緯が遺書に記してあった。

これは、罰だ!僕が小百合を愛してしまった罰なんだ!
僕は伊藤と倉永に小百合と付き合ってた事を告白した。
伊藤と倉永は僕の前から去って行った。
そして、伊藤と倉永と会えることは2度となかった。
こうして、ジェーンズは、解散。

そして、1年前の夏
こうした経緯から僕の愛も冷め、彼女も僕に対する気持ちなんて少しも残ってなかった。
僕は一人になった。

そして、現在僕はあの日のギターを物置から取り出し小さなライブハウスの床にぶつけ壊そうとしていた。
「お前のせいだ!お前のせいで、僕は孤独に!独りになったんだ!」
しかし、壊しながらギターの鳴き声のようなものが聞こえた。
その瞬間涙が止まらなかった。
「僕を一人にしないでくれ!!」
僕はただ一人、壊れたギターを抱きしめた。


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