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林一さん

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チャイム

17/05/31 コンテスト(テーマ):第136回 時空モノガタリ文学賞 【 音楽 】 コメント:0件 林一 閲覧数:208

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「キーンコーンカーンコーン」
 誰もが聞き覚えのあるであろう学校のチャイム。このチャイムが今、廃止の危機を迎えていた。全国の学校で、近隣住民からチャイムがうるさいという苦情が殺到するようになったためだ。
 生活様式の多様化により、深夜に働き昼間に睡眠をとるような住民も増えている。そんな生活の中、朝から夕方まで、授業や休み時間の始まりと終わりごとに一日十回以上もチャイムを鳴らされては、確かに迷惑であろう。
 その一方で、チャイムがなくなることで子供達が時間を守らなくなるのではないのか、という反対意見もあった。
 度重なる会議の結果、ついに、全国の学校のチャイムが一斉に廃止されることが決まった。
 チャイムが廃止されたことで、チャイムの騒音に悩まされていた何万人もの住民が救われた。心配されていた、子供達が時間を守らなくなるという不安も、杞憂に終わった。それどころか、自分で時計を確認する習慣が身に付き、教育的にもプラスの効果を発揮した。
 チャイムの廃止は、全ての住民にとって良い結果をもたらした。ある一族を除いては…。

 チャイムの作曲者である、音田鐘男の一族は、全国の学校のチャイムが一回鳴る度に印税をもらっていた。一族は巨大な豪邸で生活し、誰も働かずにその印税だけで優雅な生活を送っていた。
 チャイムの廃止が決まると、一族の生活は一変した。収入は完全に0となったため、巨大な豪邸を売りに出すことを余儀なくされた。
 働いた経験がないため、なかなか就職先も見つからず、バイトの面接すら落ち続けた。豪邸を売ったお金も底をつき、安いアパート代さえ払えなくなった一族は、ついにホームレスとなった。
 このひどい生活から脱却するため、一族はチャイムの復活を呼び掛けるデモを起こした。
「チャイム廃止反対! チャイムを復活しろ!」
 もちろん、そのデモに賛同する者など、一人も現れなかった。
 


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