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ジェームズボンバークライシスさん

ジェームズボンバークライシスです。 好きな作家はドストエフスキーと、ゲーテと夏目漱石と芥川龍之介です。よろしく。

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薔薇園

17/05/29 コンテスト(テーマ):第135回 時空モノガタリ文学賞 【 休日 】 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス 閲覧数:340

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僕はとある日曜日、あの日の君と居た薔薇園にいる。
もう失われたあの日は戻ってこない事は、わかるんだよ、だけど、それでも切なくて。
君はどうして僕の元から離れたのかわからない。
そして、最近君の顔ですら忘れかけている。だけど忘れないものがある。あの日の薔薇園の匂いだ。
100メートルほどに渡り薔薇たちが、様々な色で満ちている薔薇園は、あの日の君を嫌でも思い出させるよ。

君の名前はすみれと言った。
ショートカットで鼻が高い美女だった。
僕の今いる会社に転職してきた「天使」のように思えた。
君の事を好きな男性は沢山いたね。
ライバルだらけだったけど僕は人一倍努力した。休日もアフターも全て自己投資に使った。資格取得のための勉強、英語など、様々な事を学ぶことに時間を費やしたよ。
仕事もどんな仕事でも引き受けたし、周りがドン引きするぐらい頑張ったよ。
そんな僕を君は陶酔させる一種の酒のように思えるよ。僕はあの日から人生が楽しく思えた。
だけど、君はなかなか気づいてくれなかったんだよ。
でも、僕は努力を辞めることはなかった。
ある日のこと、僕の存在に気づいてくれたのかディナーに誘ってくれたね。
嬉しかったよそれはそれは。
僕のすみれの距離は徐々に近くなるように思えた。
僕は、会話の中ですみれの趣味を尋ねた。
彼女は薔薇園を見ることが好きだと言ったね。
僕も花の鑑賞はそれなりに好きでうっとりする君を見つめながら花について語った。
すると、君は「私も薔薇園に連れて行って!」と君から僕にデートに誘ったね。
嬉しくて嬉しくて飛び跳ねそうになったよ。
薔薇園に着くと色んな薔薇を見て楽しそうに語るすみれ。僕は彼女と付き合える!そう確信してしまったよ。
僕は、学生時代ずっとモテる事がなく、一人孤独に学生時代を生き抜いた。
成績は中の上で、友人を作るのも億劫で、 部活も帰宅部だった。
ずっと図書館で勉強か読書をし、時間を潰すような休日を過ごしていた。
勿論その時も楽しかったよ、僕は本の中の人物を想像して暇な時間を埋めていた。
だけど、寂しさもあった。特に時間が空くと毎日に虚しさを感じる事なんて多々あった。
勿論クラスメート美人はいたけど、なんと言うかなかなか話が合いそうにないし、それに、色んな男性に媚を売っているようで、顔以外好きなところはなかった。
僕は、卒業するまで、青春を待ったけど来なかった。
大学は、半年で中退した。僕にあそこの空気はあわない。
僕は、高卒で就職することになったが、なかなか就活というのは、大変だ。
そして、何社も落ちて、ようやく受かったこの会社に勤めてからはや、10年。
やっと出会えた彼女こそ僕の理想だった。
君が入社してきた時の衝撃といったら宝くじ1等が当たった時のようなものであろう、ずっとずっと張り裂けそうな胸を抑えるのが精一杯なほどだ。
君と出会えて、良かったよ。
それが今となっては幻想だとしてもその幻想を思い出せる事が僕にとって何より幸福だ。
神様ありがとう、心から感謝する。

僕はその日その時、ずっと君と結婚してからの夢を描くことに夢中だった。
君とキスして、君と料理を作って、そんな夢ばかり見てた頃が本当に楽しかった。
叶わなくても良い、夢を見てる事が楽しかったんだ。本当にそれだけなんだ・・・。
僕のその日々は今見ると眩しく思うくらい輝いてて、僕の人生はどんどん上向きになると思ってたよ。
時が過ぎるのは本当に一瞬だ。
恋の思い出を思い出すことは、時を忘れさせてくれる、くだらない毎日だって少しくらい楽しくなるから好きだ。

僕はそれでも、この日々を忘れたくないから、何かに書き留めたいという気持ちはある。
ノートにあの日の衝撃をポエムのような形で描いた。
しかし、たまに忘れそうになる日もある。
そんな日は、薔薇のアロマを炊くんだ。
そうすれば少しでもあの日を思い出せる。
僕は、君の顔を忘れかけている。
だけど、あの日の感情、衝動は薔薇のアロマを匂いで思い出せる。
気持ちがわかないときはアロマスプレーで常時、あの日の香りを嗅げるようにしている。
それまでして、僕はあの日を・・・思い出せたら・・・。

君は今何処にいるのかわからない。わからないけど、薔薇園を行くたび思い出すんだ。
ある日君は、会社から姿を消して、その後すぐに結婚式の招待状が届いたもんだからたまげたもんだ。
でも、僕は結婚式には、いかなかった。

こんな事を思い出してしまい、少し憂鬱になる。
だけど、薔薇はあの日の栄光を思い出させてくれるから好きだ。
こんな休日の使い方は、僕は心から好きだ。
ありがとう、すみれ。
愛してるよ、すみれ。
僕は今日もまた君との日々を思い出すよ。
それが一種の幻想だとしても、今でもその幻想を思い出せることを誇りに思うよ。


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