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眠々瀬未々さん

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好きなんです

17/05/27 コンテスト(テーマ):第136回 時空モノガタリ文学賞 【 音楽 】 コメント:0件 眠々瀬未々 閲覧数:246

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 あなたは、当然私の恋の醜さなんて知らないんでしょうね。それは、あなたが醜くないからです。ちっとも醜くないからです。だから好きなんです。だから愛おしくっておかしくなりそうなんです。私はもう、結構おかしいんです。あなたのせいなんです。醜くないというのは、あなたのモラルが、その良心が、この社会の中で、電車の中でだって、交差点でだって、雨の中でだって、もはや痛々しく輝くその心が、常に訴えかけるってことなんです。お前達は、もっと美しくなるべきだ。と、問いかけるってことなんです。
 そこで、届くことのない手紙を書かせていただきます。この思いを仕舞い込んでおく余裕が、私にはもうないんです。かと言って、伝えるなんて出来ないんです。ですからせめて、そう、せめて、あなたへの愛を形にしたいんです。残したいんです。語りたいんです。それが、それだけが、それっぽっちが、私に残された唯一の美しさなんです。

 まずは自己紹介をしなければなりません。変ですよね。変ですよ。
 私はしがない高校生ですから、あなたからすれば小童でしょう。このような言葉をあえて使ってみるのも、私が子供だからにほかなりません。ですが、私のこの恋は、高校生のそれではありません。汚れているんです。自分で汚してしまったんです。ですから、私の恋の一言一句を、大人とそれと受け取ってほしいんです。私にとって、大人というのは汚れの象徴にほかならないんです。私のことはSと呼んでください。気持ち悪いって思われても、あなたの頭の中に私の名前があってほしいんです。あなたの中に私はいたいんです。
 恋の起承転結って何でしょうか? あなたを好きになったきっかけを話すことに、一体何の意味があるんです? 美しいからですか? であるならば、私は書きません。だって、汚れているんですもの。美しくないんですもの。でも、私はただあなたが好きなんです。ただただ好きなんです。壊れてしまいそうなほど好きなんです。あなたのことを考えると、胸が痛くなるんです。学校に行くための電車を降りて、あてもなく走りたくなるんです。期末テストなんて無視して青空に叫びたくなるんです。遠い何処かに心を託したくなるんです。そういう恋なんです。世間だの常識といったものが嫌いになりました。だから汚れているんです。私は退屈な建前といったものに感動を覚えない女になってしまったんです。それは正しいものよりも強いあなたに心が支配されてしまったからなんです。綺麗事よりもいきなり踏み込んでくるこの感情のほうが、私を語るにふさわしいと考えてしまっているからなんです。手紙さえそうです。私の思いを語るのにふさわしいものと思えないんです。そこでお気付きになると思います。あのCDは何だろうか? と。いいじゃないですか。送ったつもりなだけですから。気持ち悪くたっていいでしょう。そうでしょう。歌を歌ってもいいでしょう。昔から人々は、人に愛を伝える時に口ずさんだじゃないですか。ですから私も口ずさむのです。これじゃあまるで、私はおかしな人でしょうか?

「あなたの言葉に不快感募る。あなたの言葉に不安が募り行く。深読みしちゃって意味深に見えてる。不快な言葉が本当は何の意味もない。Nさん、ねぇNさん、あなたはどこにいるんだい? Nさん、ねぇNさん、あなたはどこにいるんだい? あなたは馬鹿だきっと馬鹿だからいないんだ。Nさん、ねぇNさん。あなたはどこに……。あなたの笑顔に不快感募る。あなたの楽しいが僕は嫌いです。わがままに意味深にイライラ。不快な言葉が不快で不快で不快で。Nさん、ねぇNさん、あなたはどこにいるんだい? Nさん、ねぇNさん、あなたはどこにいるんだい? あなたは馬鹿だきっと馬鹿だからいないんだ。Nさん、ねぇNさん。あなたはどこに……。」
 私はまずあなたに、あなたを馬鹿だと呼んだことを謝らなければなりません。でもそう思ったんです。あまりにもあなたが憎たらしくって。そう思うしかなくって。
 ああ、あなたのことが好きなだけなのに、どうして私はこんなに嫌な思いをしなければならないのでしょうか? どうして? 恋というものがこんなに気持ち悪くて不愉快なものだと知っていれば、私は恋なんてしませんでした。でもしてしまったんです。戻れないんです。戻りたくないんです。苦しいんです。悲しいんです。愛おしいのです。あなたが。あなただけが。私の人生はあなただけのためにあったかのように思えてくるんです。それと同時に笑けてもくるんです。あなたもそうでしょう。もしもこの手紙を呼んだら、気持ち悪さとおかしさに笑いがこみ上げてくることでしょう。私も同じです。気持ち悪さを共有できるだけでも嬉しいんです。同じことで、同じ思いを抱いていたいんです。ああ、あなたが好きです。好きなんです。ただただ好きなのです。


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