もにたんさん

ピチピチの大学生です☆

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Youtuber

17/05/25 コンテスト(テーマ):第136回 時空モノガタリ文学賞 【 音楽 】 コメント:0件 もにたん 閲覧数:213

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「はいどうも〜。ケヤキンで〜す。今日はこの食材を使って料理をしていきますよ〜」
人気Youtuberケヤキン。
彼は持ち前のトーク力と、プロのような料理の腕前で、一世の人気を博していた。
動画の内容はただ料理するだけ。だが、その料理の作り方、食べ方、写し方が非常に品がよく優秀で、それでいて経験豊富なトーク。スキャンダルが多い彼だが、それすらも無視されるほどの技量で視聴者を魅了していた。
そんな彼の番組を代表するもの。それが3分間クッキングのあのメロディ。
BGMとして使われたり、アレンジして効果音として使ったりと用途は様々だが、中高生が3分間クッキングのメロディを聞けば、あ!ケヤキンだ!となるのは間違えなしである。
動画投稿は毎日七時。
すっかり彼の虜になった僕は、彼の新着動画を見るのが、もう日課みたいなものだった。
一日の楽しみもこれで終了。
壁が薄く部屋の傾いた雑魚いアパートに一人暮らしの僕は、夕食を食べてすぐに寝てしまう。
今日も僕は十時に眠りについた。

遠くで聞き覚えのあるメロディが聞こえる。
半覚醒のまま、時計を見る。
夜中の三時。
外は真っ暗だ。
またか……。
僕のアパートは家賃一万七千円。すごく安い。
僕は無頓着な方なので、多少のことは気にならないし、ぶっちゃけここは快適と言ってもいい。
が、一つ。たった一つだけ、僕は怖いものがある。
それが夜三時に起こる怪奇現象。
いや、怪奇現象じゃないのかもしれない。
実際、よくわからないのだ。
毎日この時間になると、隣の部屋から3分間クッキングの音楽が聞こえてくる。
これが始まりの合図。
それから祭りのごとく様々な音が聞こえてくるのだ。
隣の部屋は住んでいるかも住んでいないかもわからない。ただ、僕はここに一年以上住んでいるが、僕が隣の部屋を覗く時には、電気がついていたことが一度もない。大家さんには会ったこともないから当然聞いたこともないし……。
住んでるかもしれないし、住んでいないのかもしれない。本当によくわからないのだ。
トントントントン……。
リズムにのった音が、微かに聞こえてくる。
微かに聞こえる男の声。
水の流す音。
僕はそっと布団を頭の上までかける。
ガシャーンと何かが倒れる音。それに付随する男の叫び声。
足音。
さらが割れる音。
両手で耳を塞ぐ。
藁のようなものが擦れる音。
再び男が喋る声。
僕の意識の糸は、今にもプツンと切れそうだった。
両耳を抑えている手が、コップを一杯に出来るほど湿っている。
田舎から都会に来てはや一年。
楽しいこともあったけど、寂しい日々。
そして怪奇現象。
自分の中の何かが弾け飛びそうだった。
唾を飲む音ですら、ゲームセンターの音並に大きく聞こえる。
すると突然、今まで鳴り響いてた音が、フッとおさまった。
数分間、緊張のせいか動けない体。
ゆっくりと布団を捲り、恐る恐る自分の家を見る。
何もいない。
ほっと息を吐く。
そして、隣の部屋と隣接している壁にゆっくり近づき、そっと、そーっと耳を近づける。
『できあがり〜!』
絶叫というか断末魔というべきか、とにかく叫び声をあげたのが、その時の僕の最後の記憶。



「ケヤキン動画コメント欄」

『6:45〜から男の人の声が聞こえる!』
『ケヤキン早く逃げてえええ』
『私今日誕生日👍』
『男の叫び声が聞こえる人👍』


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