1. トップページ
  2. スイーツまみれの男

泡沫恋歌さん

泡沫恋歌(うたかた れんか)と申します。

性別 女性
将来の夢 いろいろ有りますが、声優ソムリエになりたいかも。
座右の銘 楽しんで創作をすること。

投稿済みの作品

3

スイーツまみれの男

17/05/08 コンテスト(テーマ):第133回 時空モノガタリ文学賞 【 スイーツ 】 コメント:4件 泡沫恋歌 閲覧数:279

この作品を評価する

 スイーツといえば、こいつ。僕の友人の石田君だ。
 何しろ無類の甘党で和菓子、洋菓子、どちらも大好物なのだ。たとえば主食がおはぎ、おかずがケーキ、汁はおしる粉、デザートはプリン、そんな食事が毎日続いてもヘーキなくらい、スイーツまみれの男なのだ。
 石田君がケーキバイキングにいく時、ツレとしていつも同行させられるのがこの僕である。
 彼の「奢ってやる」という甘言につい乗せられて付いていってしまうが、ケーキのテーブルを睨んでバトルするスイーツ好きの女子たちに混じって、ケーキ争奪戦に参戦するのはさすがに男として恥かしい。
 ケーキを前に興奮した女子たちに肘鉄を喰らわされ、突き飛ばされしながら、やっとケーキをゲットするのだ。……だが、石田君がケーキを取りにいくと、なぜか女子たちは道を開けてくれるのだ。
 何しろ石田君は、身長185センチ、細身で眉目秀麗、ストレートの長い髪を時々鬱陶しそうに掻きあげる仕草はまさに絵になるイケメンだ。それに比べて彼より20センチも背の低い僕は童顔で時々中学生に間違われる。
 ああ悔しいが、こんなところにも見た目偏差値があるのだ!
 ケーキを食べる手を止めて、じっと石田君に見惚れている子もいる。カッコイイ男子がケーキを食べている、そのギャップに女子は萌えるらしい。
 もし僕だったら「甘いの好きなの? おこちゃまね」と鼻で笑われるだけなのに……。結局、世の中はイケメン中心に動いているのか?

 そんな石田君にも二つの弱点がある。
 ひとつは偏頭痛、一週間の半分は頭痛に苦しんでいる。雨が降りそうな天気では気圧が下がって特にひどい、あまりの激痛に嘔吐することもあるらしい。そのせいで、いっつもムスッと不機嫌な顔の石田君だが、スイーツを前にした時だけは相好を崩す。
 ある時、偏頭痛に苦しむ石田君を見兼ねて、 
「その偏頭痛の原因はスイーツの食べ過ぎにあるんじゃないの?」
 質問した僕に対して、石田君は「ない」とたった二文字で切り返した。
 たとえ、偏頭痛の原因がスイーツの食べ過ぎだったとしても、彼は絶対にスイーツを食べることをやめないだろう。
「砂糖の取り過ぎで虫歯にならない?」
「俺は一本も虫歯が無い!」
 白い歯を見せてニッと笑う石田君が、イケメン過ぎて……わけもなく腹が立った!

 弱点その二は女嫌い!
 とにかく女子には全く興味を示さない男である。いくら女子に声を掛けられても、見事なガン無視、キャーキャー騒がれても、「うるさい! あっちに行けっ!」と身も蓋もない塩対応だ。
「どうして、そんなに女の子が嫌いなのさ?」
 僕の質問に対して、「めんどくさい」と六文字で簡単に説明した。
「それよりも、セブンの新作スイーツの方が俺には興味がある。洋梨を使ったタルトに生クリームたっぷりの……」
 訊いてもいないのに、スイーツの講釈を垂れる石田君なのだ。どうやら脳みそもスイーツまみれになっているみたい。

 そんなある日、大学構内で石田君が珍しく女子と二人で話しているところを僕は見てしまった。
 しかもその女子から風呂敷に包んだプレゼントを受け取って、あの石田君がニコニコしていたのだ。まさか!? あの女嫌いの石田君を笑顔にできるなんて……彼女はいったい何者なんだ!?
 さっそく、学生食堂にいた石田君を見つけて話しかけた。
「さっき、女の子と話してたでしょう」
「ああ」
「石田君も隅に置けないなぁー、で、好きなの?」
「うん」
 平然と答えた。
「えっ、ええーっ? どんなところが?」
「真っ白で、ぽっちゃりして、柔らかいところが……」
「白くて、もっちゃとして、柔らかい? ま、まさかオッパイが!?」
 清廉潔白だと信じていた石田君が、すでに女の子とそんな関係だったとは……ある意味、女嫌いの石田君に安堵の念を抱いていただけに、僕にとってはショックだった。
 185センチの男から、いきなり僕の髪の毛をワシャワシャされた。
「わ、わ、なにするんだ!?」
「おまえ、なに想像してんの?」
「だから、あの女の子とエ、エッ……チ?」
 笑いながら、石田君が風呂敷包みの中身を見せた。
 そこには真っ白でぽっちゃりした柔らかそうな大福もちがギッシリ詰まっていた。
「あの子は和菓子屋の娘で頼んでいた大福もちを受け取っただけ」
 あははっ……やっぱり、そういうことか。女嫌いの石田君がスイーツ以外に興味を示す筈がない……か。うんうん、それなら納得した!
「おまえがいるのに、女の子なんか相手にするもんか」
「なにそれ? その言動怖いんですが!?」
 僕はBLには興味ないから!
「まあ、大福でも食え!」
 呆れた僕の口に大福もちが押し込まれた。
 じんわりと餡子の甘さが口の中に広がる、これは美味しい! なんだかスイーツな気分になった。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

17/05/08 まー

“主食がおはぎ、おかずがケーキ、汁はおしる粉、デザートはプリン”
栄養的にかなり心配です(笑)。
石田君はもしかするとスイーツを毎日作ってくれるような子となら結婚するかもしれませんね。

17/05/14 そらの珊瑚

泡沫恋歌さん、拝読しました。

スイーツ男子って呼び名はいつからあったのかな?
紛れもなく石田くんのことでしょうね。
今回もまったくぶれない石田くんと、振り回されてばかりの僕のやりとりが楽しかったです。

17/10/24 泡沫恋歌

まー 様、コメントありがとうございます。

石田君、こんな食生活を送っていたら・・・いずれ糖尿病になるのではないかと心配です。
まあ、頭はいいみたいだし、脳ミソをよく使ってるみたいだから、そこで糖分が消化されてるのかな?

17/10/24 泡沫恋歌

そらの珊瑚 様、コメントありがとうございます。

まったくブレない石田君と、煩悩まみれの僕、ある意味いいコンビかもしれない。
でも石田君と親友である限り、僕の春”まだまだ遠そう。頑張れ! 僕。

ログイン
アドセンス