1. トップページ
  2. キャバクラ竜宮城

欽ちゃんさん

僕の作品を読んで何か感じるものがあるといいです。 気が向いたら良し悪し問わず、コメントいただけると嬉しいです。

性別 男性
将来の夢 顔が笑いじわだらけのじいちゃんになる
座右の銘 明日会えるけど今日も会いたい

投稿済みの作品

0

キャバクラ竜宮城

17/04/23 コンテスト(テーマ):第132回 時空モノガタリ文学賞 【 浦島太郎 】 コメント:0件 欽ちゃん 閲覧数:242

この作品を評価する

今日も終電で帰宅
この時間になると駅前の商店街もひっそりと静まり返り、足音だけが響く
30歳にもなって出会いなんて全くない独り者
最近は仕事の疲れのせいか俯くばかりで猫背がひどくなった
ふと顔を上げると商店街のシャッターの前でうずくまる人が目に入った
んー、どうしようか
正直めんどくさい。帰って早くプシュっと自分と乾杯したい
いや、しかし、もし商店街に隠しカメラがあって会社の人がモニタリングしているドッキリ企画だったら...ここで助けたら僕の評価は上がる!
無駄なポジティブに後押しされて老人の元に向かう足取りも自然と速くなる
「大丈夫ですか?」
「す、すみません。カバンの中に..クスリがあるので..取ってくれませんか」
「あ、えっと、これですか?」
クスリと一緒にさっきコンビニで買った水を渡す
「助かります」と老人はゆっくりとクスリを飲んだ
老人の髪を短く整えられ、よく見ると着ているスーツは明らかに高級そのものだった
これは...期待できる!!
5分程経った頃、老人は落ち着きを取り戻した
「本当にありがとうございます。病が体をいじめるんです」
「苦しんでいる人を見過ごすなんてできません。いえ、お礼なんていいです。はい、お礼なんて。えぇお礼、お礼、お礼」
「もちろんお礼します。一杯ごちそうさせてください」
「え!いいんですか!?」
思わず声が弾む
「えぇ命の恩人ですから。この商店街の先にあるお店に行きましょう」

しばらく歩いて行くと、老人は「ここです」と立ち止まった
そこには看板もない大きな扉があった
「ここですか?」
「えぇここです。どうぞお入りください」
扉が開くと同時に「ようこそ〜キャバクラ竜宮城へ〜♪」と女性の大合唱が体を包み込んだ
そこには現実とは思えぬ世界があった
店内は煌びやかな装飾品が飾られ、テーブルやソファーは高級感のある光沢を放っている
色鮮やかなドレスを身にまとった譲たちは薄いブルーのライトに照らされ、まさに輝く熱帯魚に見えた
圧倒的絢爛豪華なお店に客らしき人は自分一人しかいない
「この方は私の命の恩人です。手厚くサービスしてください」
ドッキリなのか?しかしここまで手の込んだドッキリを仕掛ける意味がない!
脳が沸騰するほどの興奮に毛穴から花が咲いたような感覚になる
「ここは私のお店です。自由に楽しんでください」と言い残して老人は店内の奥へ消えた
そこからはまさにパーティ状態
赤ちゃんのほっぺのような柔らかなソファーに座ると、20人の譲に囲まれた
美人系やかわいい系、スレンダーな子やぽっちゃりした子など、どこ子もみなタイプが違う
共通していることは全員が自分だけのために話し、笑い、お酒を作ってくれることだった
至れり尽くせりすぎて不安になるたびに、「だって命の恩人様ですから♪」と抱きつかれる
人生最良の時。わが人生に悔いなし!
男はバカである。いや、バカでいい。酒がなくても酔える空間で酒を飲む矛盾すら肯定できる

全身全霊で楽しんでいると、お店の奥から一人の女性がゆっくりと近づいてきた
ただならぬ気配に男性ホルモンが反応した
「あの人は?」
「乙姫様ですよ。このキャバクラのNO1譲です」
乙姫はテーブル越しに片膝をついた
「このたびは本当にありがとうございます。乙姫と申します。お楽しみいただけましたか?」
「は、はい、と、とても!」思わず声がうわずる
圧倒的オーラ。人生で出会った女性の中でも群を抜いて美しい。その美しさは周りの譲たちがフナに見えるくらいだ
その肌は整備されたスケートリンクよりもなめらかで、まつ毛はSASUKEの反り立つ壁のごとく見事なカールを描いていた
乙姫は手に持っていた黒い箱を差し出した
「どうぞ、キャバクラ竜宮城の玉手箱です。お開けになってください」
男は一様にしてきれいな女性の前では無力になる
言われるがまま箱を開けると大量のスモークが吹き上がった
箱の中には衝撃的な光景があった
「こ、これは?」
「はい、請求書です」
紙に書かれた金額に酔いも血の気も一気に吹っ飛んだ
『1億8000万円』
「あ、あのご馳走していただけるんじゃ...」
スモークのせいか急に視界が歪み、意識が遠のく
視界の端にいつからいたのか助けた老人を見つけた
「ご馳走するのは一杯と言いました。払えないのであればここで働いていただきます」
そのまま視界が闇に覆われた

数日後、キャバクラ竜宮城に立っていた
今日もオーナーが連れてきた男を竜宮城でお迎えする
ボーイではなく、譲として。
眠っている間に全身整形され、綺麗な長い髪の毛を植毛された
整形費用も自分持ちになった矛盾すら考える思考もない
完済まであと60年。不思議と歳を取らないこの店に定年はない
「ようこそ〜キャバクラ竜宮城へ〜♪」


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン
アドセンス