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イルカさん

 素敵な物語を想像したりして、書けるのは  人だけ、そんな作家さんに 憧れます。  宜しく お願いします。

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ホットケーキ

17/04/19 コンテスト(テーマ):第133回 時空モノガタリ文学賞 【 スイーツ 】 コメント:0件 イルカ 閲覧数:374

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 故郷は、懐かしいとか言うけれど私には、苦い思い出しかない。そこで生まれて高校まで住んだ町だけど、今は、親戚もいないし、友達もなく行く目的もない。
 あれは、高校を卒業するころだった。
私は、仲の良い友達はいた。あの出来事が起こるまでは、生涯の友だと思っていた。
それが由紀だった。人見知りが激しく、クラスの人と打ち解けることができず、落ち込む日々を過ごしていた。
 そんな時、机で宮沢賢治の銀河鉄道の夜を読んでいた。その時、私もその小説が好きだと
声をかけてくれたのが彼女だった。それが切っ掛けで話しをするようになり、友達になった。
 今まで寂しい学校生活で、本だけが友達だった。彼女との出会いは私にとって光がさした。
学校の帰り、喫茶店により、ホットケーキと紅茶を注文して、そこで、読んだ本の感想を
話題にして、話しが盛り上がった。
 由紀のことは、楽しかった日々を夢で見る。だけど目が覚めると、もう親友でもないと
現実も戻る。会っても多分冷たい態度だろうと思うと、悲しくなる。
 彼女の読書感想は、独特の視点で私を驚かせた。それを聞くと私の感想は余りにも平凡だった。どうして、こんな感想が言えるのか。少し劣等感や嫉妬を感じた。
 ひょとしたら、友達としてレベルが違い過ぎていたかもしれない。そう思うと別れて正解だったのかもしれない。
 そんなある日、仕事で故郷の町に車で行くことになった。
懐かしい風景だが、町は都市計画で駅も新しくなり、昔の面影が少なくなっていた。
 仕事を済ませ、歩いていると、あの喫茶店が目に入った。お店が古くなっていた。
 あの懐かしいホットケーキを食べたいと思い、店に入った。
 懐かしい店主の顔があった。だけどもう私のことは忘れているだろうと思った。
 メニューを見ると、ホットケーキの文字が見えて、注文した。
 懐かしい味で、美味しかった。食べ終えて店を出るとき、店主と目があった。
 「高校生の頃かな、よく店にきた人ですね」
 私のことを覚えていたんだと思った。
 店主は、友達が淋しそうにしていたと告げた。その言葉に救われた気がした。
 そしてまだ町に住んでいると聞いた。
 私は、自分の思いを手紙に書いた。またホットケーキ食べようねと。すると返事が来て彼女も心を痛めていたと書いてあった。
 また二人で、ホットケーキを食べる約束をした。


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