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小高まあなさん

鳥と怪異と特撮ヒーローが好き。 ひねくれつつも清々しい物語がモットー。

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正義感

17/04/10 コンテスト(テーマ):第131回 時空モノガタリ文学賞 【 電車 】 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:227

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 私は正義感が強い。しかし、勇気が足りない。
 例えば私は電車にちゃんと乗らない人が許せない。足を組む人、化粧をする人、席を譲らぬ人。なにもかもが許せない。
 しかし、私には勇気が足りない。
 いくら憤懣やるかたない思いを抱いていても、直接注意することなどできない。怖い。
 とはいえ、見逃すことは出来ない。
 ではどうするか?
 態度で訴えかけるのだ。
 足を組んだり、投げ出したり、他人に迷惑をかけるような座わりかたをしている人の前にわざと立つ。足がぶつかろうとも、ぶつけられようとも、迷惑そうな顔をされようとも構わず目の前に立ち続ける。よほど頑固な者以外はいずれちゃんと座り直す。
 何人か足を組んでいる者がいると大変だが……。何せ私は一人しか居ない。一人の前に立ち、直ったのを確認し、別の場所に移動し、気づくと最初の者がまた足を組んでいる。あっちへこっちへうろうろする羽目になる。
 化粧をする者や、席を譲らぬ者についてはやはり同じように目の前に立つ。真正面に立てなくとも近くに寄る。
 そしてそのまま、その人をじっと眺めるのだ。
 大事なのは目を合わせてはいけない。そんなことをしたら、
「何ガンつけてんだ?!」
 とか怒られるからである。あれは怖かった。もう二度としたくない。
 ただなんとなく見つめることで圧をかけるのだ。
 向こうがこちらを見たら視線を逸らすか、他にその席を必要としている人の方をさりげなく見る。
 これはあまり成功することがない。
 しかし、本人に居心地の悪さは与えられているだろう。ならばひとまず、それで十分だ。

 先日、久方ぶりに友人と遠出することになった。電車に乗る。
 少し奥に、足を組んでいる者がいた。私はいつものようにその者の前に立った。足が当たる。足の持ち主が不愉快そうに私を見た。
 ここから、私とこの不届き者との戦いが幕を開けるのだ!
 と思ったら、
「なんでそんなとこ立つの、迷惑じゃん?」
 と友に止められた。
 あろうことか友は、不届き者にすみませんと謝り、離れたところに私を誘導する。
 不届き者は勝ち誇ったような顔をして、これみよがしに足を組み直した。
 なんと腹ただしい!
 友に抗議した。これは世直しなのだと。
 しかし、私はいまいち喋るのが得意ではないため、たどたどしい言い方になった。それがいけなかったのかもしれない。
 あろうことか、友はこう言った。
「それって性格悪いだけじゃないの?」
 そんなことはない。この正義がわからないなんて!
「あと、心が狭い、みみっちい、せせこましい。察してちゃんでうざい」
 私は一生懸命やっているのになんと酷い!
 いつか友がこの正義を理解してくれる日が来ることを祈るばかりだ。
 私は正義感が強い。しかし、勇気が足りない。私の正義を理解してくれない友にも、曖昧な笑みを浮かべるしかできないのであった。


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