PURINさん

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17/04/02 コンテスト(テーマ):第131回 時空モノガタリ文学賞 【 電車 】 コメント:0件 PURIN 閲覧数:270

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知り合いから聞いた話です。

ある休日、知り合いはお子さんと2人で出かけたそうです。おいしい食事をしたり、買い物をしたりしてとても楽しく過ごせたそうです。

それは帰りの電車内で起きました。席が空いていなかったため、よく揺れる特急の中、知り合いもお子さんも立っていなければなりませんでした。
しばらく揺られているうちに、お子さんが疲れていないかどうか心配になってふと見ると、酷く苦しそうに顔をゆがめていました。
「あっ、まずい」
知り合いがそう思ったのと、お子さんが嘔吐したのはほぼ同時でした。

悪臭を放つ吐瀉物が床に撒き散らされ、周囲にいた人たちが驚いて飛びのくのが見えたそうです。
「どうしよう」
知り合いはお子さんが吐いたことそのものはもちろん、他の乗客に怒られるのではないかとパニックになったそうです。

ですが、知り合いの予想に反し、周囲の人たちは最初に驚いただけでした。
お子さんのすぐ前の席に座っていた人はお子さんに席を譲ってくれ、その隣に座っていた人は「大丈夫?」と言いながらお子さんの背中をさすってくれたそうです。
他の人達も協力して自分自身のティッシュやハンカチや新聞紙で床を綺麗に拭いてくれたそうです。
おろおろしながら謝ることしかできなかった知り合いに対しても、「気にしないでください」、「よくあることですよ」、「それより、お子さんは大丈夫ですか?」などと言ってくれたそうです。

そうこうしているうちに知り合いたちが降りる駅につきました。知り合いはだいぶ具合の良くなったお子さんと一緒に車内の人達に心からのお礼を言って下車しました。

だいぶ具合が良くなったとはいえ、もう少し休んだ方がいいと判断した知り合いは、そばにあったベンチにお子さんと一緒に腰掛けました。

その時でした。
「ちょっと、すいません」
誰かに声をかけられました。

振り向くと、1人の人が立っていました。何だろうと思っていると、その人はぐいと一歩近づいて着ていたTシャツのお腹の辺りを見せてきました。
「お子さんのせいで服が汚れてしまいました。クリーニングに出すのでお金を払っていただけますか?」
その人が指し示した箇所には、確かに先ほどお子さんが吐いた吐瀉物が付着していたそうです。後で思い出すと、軽く洗えば落ちそうなくらいのたいしたことのない汚れだったそうですが、その時の知り合いはその人の雰囲気がなんだかとても怖くて、思わず財布に入っていた千円札数枚を渡してしまったそうです。
その人はお金を受け取ると、何も言わず、表情一つ変えすにその場を去って行ったそうです。

「だからその時、人間には2通りいるんだなって思ったんです」
知り合いはそう締めくくっていました。


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