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生きていたい

17/03/17 コンテスト(テーマ):第130回 時空モノガタリ文学賞 【 失敗 】 コメント:0件 リードマン 閲覧数:168

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またしくじってしまった。
満足のいく人生だった筈なのに、死に際で取り乱した。
囲む家族の中で笑顔で息を引き取った。
けれど、無に帰る直前になって恐怖に負けたのだ。
そうやってまた繰り返す。

私は未だ一度も、人生を終えた事が無い。

始まりは孤独だった。
見渡す限りの暗闇の中、浮かび上がるように生まれた自分。
何も無い事よりも、誰もいない事に怯えた私は、“誰か”が欲しかった。
だから創った。“リリス”と名付けた。
だというのにいざ二人になってみると、今度は相手の事が怖くなった。
事実、なんの制限も設けずに生み出してしまった彼女は私を害する事の出来る力を持っていた。
だから遠ざけた。彼女は泣いていた。
次に創ったのは“イヴ”という人形だった。
私の意のままになり、決して逆らえず、特別な力も持たない、無害な人形、それがイヴだ。
イヴとの時間は幸福だった。少なくとも、最初、私はそう感じていた。
多種多様な遊びのパートナーとして重宝したが、直ぐに虚しくなって厭きてしまった。

イヴとの遊びの一環として人類が産まれ、世界が産まれた。

崇高な目的があっての事では無かった。
数多の人生を見た。
幸福に終わった者はまだいい、だが、不幸に終わったものはどうなる? そもそもの原因は誰にある? 
言うまでもない、私だ。

私はせめて人々と共にあろうと思った。
だから一人の人間として生きる道を選んだのだ。
そうして、私の旅は始まった。

あまりにも沢山の人生を経験した。
疲れてしまった私は、自らの終焉さえ願った事もあった。
けれど結局、死の恐怖に打ち勝てた事は無い。
もう生きていたいとは思わない?
死にたくないから、生きているだけなのか?

違う。

それは、きっと違うと思う。

私は、原初から一貫して、より良く生き続けていたいと、本心では願い続けていたのではなかったか?
疲れ果て、自ら命を絶った事もあった。それでも、必ず後悔し、無へと帰る事はなかったではないか。

自らを殺す事に失敗し続けたのは、失敗ではなかった。

今ならそう素直に思える。
生きていたい、叶うなら、誰かと共に。

どれだけ幸福な人生を歩んだとしても、私が無に帰る事は、未来永劫無いだろう。
誰よりも貪欲な私は、また今日も自らの人生を楽しんでいる。


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