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猫春雨さん

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大実験

17/03/16 コンテスト(テーマ):第130回 時空モノガタリ文学賞 【 失敗 】 コメント:0件 猫春雨 閲覧数:325

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 小学校の頃、いかがわしい雑誌で得た知識で魔術を実践したのが研究の始まりかもしれない。
 その魔術が、科学に置き換えられたのはより理論的なものにすがりたかったからか。
 ともかく僕には成し遂げたい偉業があった。
 だから結果をより確かなものにするために本を読みあさり、勉学に打ち込んだ。
 でもいくら研究をしたって生まれるものは理想とはほど遠い。
 ……いや、別の研究者から見れば成功しているのかもしれないが、僕自身は満足したことは一度もなかった。
 ある意味研究者としては才能があったのだろうけど、探求者としては落ちこぼれだ。
 今も実験が大詰めとなっていた。
 無数の試験管の中の薬品をフラスコに少しずつ注ぎ、混ぜ合わせてゆく。
 少しでも配合が違えば理想の結果は生まれない。
 慎重に、慎重にひとしずくの薬品を溶液に落とし――たその時!
 カッと光が発生し、爆発が僕の体を飲み込んで研究室を満たした。
 そして僕は……待ち望んでいた結果に、人にようやく出会えた。
 温かな手で散り散りになった僕の体をいだき、優しい眼差しを向けてくれるその人は、一枚の古い写真でしか見たことの無い母親そのものだった。
 失敗は成功の母。
 今まで成功しかしたことのなかった僕が晴れて大失敗をしでかしたことにより、母親と出会うことができたのだ。
 母さん……ずっと会いたかったよ。
 これからはずっと一緒に居よう……ね。


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