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まーさん

物語作りの基礎としても、ショートショートで腕を磨くべく登録させていただきました。 読んだ作品にはなるべくコメントするようにしているので、ウザいかもしれませんがあしからず(笑)。 よろしくお願いします。

性別 男性
将来の夢 ラノベ作家、書籍アニメ化
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永遠の青いレール

17/03/15 コンテスト(テーマ):第131回 時空モノガタリ文学賞 【 電車 】 コメント:2件 まー 閲覧数:332

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 別れ際、ソラはお父さんとお母さんから数えきれないほどの青いレールを渡されました。それはもう、海の砂粒や夜空に浮かぶ星の海と同じくらいの数の沢山のレールでした。
「いいかい、これを全部まっすぐに繋げることができたらまた会えるからね」
 お父さんが言いましたが、ソラは不思議に思って尋ねました。
「電車はないの」
「電車はないよ。電車があったらレールの上を走らなければならなくなるからね。そうしたらどこかで止まるかもしれないし、そうならなくてもいつかは止まってしまう。だから電車はないんだよ」
 そういわれると、それもそうだなあとソラは思いました。そして、やっぱりない方がいいやとさえ思いました。
 気がつくと、お父さんとお母さんは消えていました。

 それからソラは柔らかな草地の上にレールを広げ、それを一つずつ繋げていきました。かちゃり、かちゃりと繋げていきました。次の日も、また次の日も繋げていきました。
 そんな毎日がしばらく続いたある日、通りすがりのおじさんがレールを繋げているソラを見て尋ねました。
「いったいどこまで繋げるんだい。そんなに繋げても仕方がないだろう」
「僕ね、これを全部繋げることができたら、またお父さんとお母さんに会えるんだ。だからずっと繋げてるんだよ」
 それを聞くと、おじさんは少しイライラした様子で言いました。
「電車は走らせないのかね。そんなに長く繋げたって電車が走らなきゃだめだ」
「電車はいらないよ。電車はどこかで止まっちゃうかもしれないし、いつか止まっちゃうからね」
「ふん、勝手にするがいいさ」
 おじさんはそう言い残し、ぷりぷりした様子で去っていきました。

 それからまた何日かすると、今度は通りすがりの若い女の人がソラを見て言いました。
「そんなに繋げてどうするの。レールが無くなってしまうでしょう」
「無くならないよ。お父さんとお母さんが無くならないほどたくさんくれたからね」
 ソラがそう言いましたが、女の人はどこか不安そうな顔をしました。
「そうはいっても、いつかは無くなってしまうに決まってるわ」
「そんならそれで僕はいいよ。そうなったらお父さんとお母さんに会えるからね」
 それを聞いた女の人は少しびっくりした後、ばつが悪そうな顔をしながら去っていきました。

 次にソラに話しかけてきたのは、ソラと同年代くらいの子供でした。
「君は電車をもってないの」
「うん。僕、電車はもってないよ」
「僕はもってるよ。とてもきれいな電車さ。毎日走らせるんだ。どうだい、うらやましいだろう。でも君なんかには見せてあげない」
 意地悪な顔でそんなことをいう子供に、ソラは言い返しました。
「なんだい。全然うらやましくないね。見たかないや。そんな電車すぐに止まっちゃうし、どうせいつか動かなくなるんだから」
 すると、この言葉にカッときたのか、子供はソラを突き飛ばして走って逃げて行ってしまいました。痛いのと悔しいのとでソラは涙を流しました。それでも、泣きながら青いレールを繋げ続けました。

 永い間、いろいろな人にいろいろなことを言われながら、ソラはレールを繋げ続けました。
 後ろを振り返ると、水平線の向こうまでまっすぐの青いレールが続いています。そうすると、何だか青いレールの山が少なくなってきたような気がしました。でもよくよく目を凝らして見てみると、そんなことはないのでした。元の通り海の砂粒ほど、星の数ほど残っています。
「ちぇっ。ちっとも減ってないや」
 そんなことをわざと言ってみるソラでしたが、本当のところはどちらでもいいのでした。なぜって、青いレールを全部繋げることができればお父さんとお母さんに会うこともできますが、ずっと電車の走らない青いレールを繋げ続けるのだって、くすぐったいような楽しみがあったからです。だからこんなことを呟きました。
(僕は、いつか青いレールを全部繋げてお父さんとお母さんに会いたい。でも、このままずっと繋げ続けるのだって、僕にとっては大変うれしいことだ)

 果てしなく広がる緑の絨毯の上を、一本の青いレールの線が途切れることなくずっと続いています。電車が走ることのない青いレールがずっと続いています。

   了


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このストーリーに関するコメント

17/03/24 泡沫恋歌

まー様、拝読しました。

果てしなく広がる緑の絨毯の上を、一本の青いレールの線が途切れることなく
ずっと続いている情景というのは、とてもきれいでしょうね。

とても詩的で、どこか哲学的な作品だと思いました。

17/03/27 まー

泡沫恋歌さん、コメント返すの遅くなってごめんなさい。<(_ _)>
100分de名著で宮沢賢治があったせいか影響されまくっている作品です(笑)。

永久の未完成これ完成である(キリッ

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