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空 佳吹さん

そら かぶき…です。 ちょっと奇妙な小説を書きます。どうぞ宜しく!

性別 男性
将来の夢 作家
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ある最終電車でのハプニング

17/03/14 コンテスト(テーマ):第131回 時空モノガタリ文学賞 【 電車 】 コメント:2件 空 佳吹 閲覧数:270

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その日、僕は残業の後で仮眠をしてしまったために、終電で帰るハメになってしまった……。
二十三歳の独身で、中古マンションに一人暮しだから、どうというコトもないのだけれど……。

会社から十分のK駅は始発駅で、僕が乗った電車は、進行方向に向いて二人用の座席が並ぶタイプだった。
僕は末端の窓際に座り、スマホでゲームをしていた。

すると近くから乗った人が、僕の隣に座った。
同い年くらいの女性のようだったが、酒臭かった。
多分、ゴーコンか何かで飲み過ぎたんだろう……と僕は思った。

ようやく定刻となって発車したが、
(意外なほど静かだなぁ……)

と思った時、それまで胸を押さえていたその女性が、口に手をやって戻しそうな様子を見せたのだ。
(おいおい、こんな所で吐くのはマズいよ……)
と僕は困った。が、はっと気付いた。

先日、百均ショップで買った、ウエストポーチをしていたことを。
僕は、その中身の物をポケットに移して腰から外すと、
「これ使ってよ。気にしなくていいから」
彼女の口に当てた。そしてハンカチで彼女の顔を隠した直後、彼女は吐き始めた。
間一髪だった。
僕はホッとした。が、
(百均品だからな……)
と不安に思いながらも、彼女の背中をさすった。

そのポーチが重くなり、彼女の様子も安定した頃、誰かが知らせてくれたのか、車掌がやってきた。
彼は、厚手のビニール袋を出して、
「ご協力に感謝します。そのポーチはここにお入れください」

彼女を休ませるために、次の駅で女性の駅員が待っていた。
僕は彼女を任せると、車内に残った。
こんな感じで人助けをするとは思ってなかったので、僕は爽快な気分だった。


数日が経ち……
僕は残業の後で、また仮眠をしてしまい、K駅で終電に乗るためホームにいた。
すると、誰かの視線を感じて僕は振り向いた。

一人の女性がいて会釈した。
近付いて聞いてみると、あの時、車内で吐いた女性だった。

彼女は改めて礼を言うと、伏目がちに、
「あの時は、死ぬつもりでした……。あんな所で吐いちゃったら、貴方やいろんな人に
迷惑をかけちゃうから……」
「いやいや、そんな……」
僕と彼女は、到着した終電に乗るとドア付近に立った。
そして発車したが、意外なほど静かな走りだった。

「実はあの日、彼に捨てられて、ヤケ酒を飲んだ後だったんです……」
「そうでしたか……」

すると、いつの間にか後ろに、車掌がいて、
「先日はご協力、ありがとうございましたー」
僕と彼女は振り向くと、苦笑しながら会釈した。

「実は、あの時の終電も、この地球から三万光年先にあるフローラ星から来た、特別観光電車だったんですよー」
車掌姿の異性人はニッコリ笑った。

僕と彼女は思わず、
「えー?!」

「つまり私達はフローラ星人でして、汚いものや悪臭には、めっぽう弱いんです……。だからあの時、貴女に吐かれると非常に困るところでした……。今回はあの時のお礼としまして、貴方を特別にフローラ星にご招待……」
「えっ、僕を?」

「……と思ったんですが、お二人お友達のようなので、お二人共ご招待いたしますー」
苦笑していた彼女も、
「えっ、私もですか?!」
「はい、そうですよー」
またニッコリ笑った。

他の乗客たちも異性人の姿に戻って、歓迎しているようだ。

車掌姿の異性人は、またまたニッコリ笑って、
「それでは、そろそろ……」

僕達は困ってしまった。

すると彼女が、苦しそうに胸を押さえて吐きそうな様子だ。
それを見て僕は、
「あっ、マズイ! この人また吐きそう……。あっ僕も……オエッ! オエッ!」

それを見た車掌姿の異性人は頭を抱えて、
「えー、それは超マズイー!」

直後、周りは真っ暗になり、僕は気絶した。


やがて気がつくと僕は、走る終電の座席にいた。
隣には彼女がいて、まもなく気がついた。

「どうやら車掌姿の異性人が、あわてて他の終電に移したようだよ」
「良かった、上手くいって……」

「この終電だと少し遠周りだけど、たまにはいいじゃん。しかし君はスゴイね……」
「だって、あんなお芝居でもしないと、へんな星に連れて行かれたら困りますから……」
「本当にいい機転だったよ。おかげで僕も助かったよ。ありがとう」
「いいえ……」
二人は笑った。

「ついでと言ってはナンだけど、僕と付き合ってくれますか?」
「はい、喜んで!」

すると前の方の座席から、気分を悪くしてか、吐いてるらしい音と、
「困ったな……。この袋、大丈夫かな……?」

僕は彼女に、
「車掌さんに知らせてくるよ」
「はい。だけど……この電車の車掌さんて、本当に人間かしら……?」
「多分、大丈夫。この電車には、普通の揺れと音があるから」


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このストーリーに関するコメント

17/03/14 空 佳吹

作者:漢字が多くなってしまいました、すみません……。

17/03/14 空 佳吹

1pt、ありがとう御座いましたー!

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