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可哀想

17/03/09 コンテスト(テーマ):第130回 時空モノガタリ文学賞 【 失敗 】 コメント:0件  閲覧数:155

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「私、さっきのテスト98点だったー」

掃除時間、教室を掃いていた私に偶然その言葉は耳に入った。
ぱちりと目を瞬き、廊下を覗く。
クラスメイトの梶本さんが他の女子たちと談笑している。
明るい、クラスのムードメーカー。
運動もできて勉強もできるクラスに一人か二人はいる子。

「やっぱり?
一番、梶本だと思ったんだ、頭いいもん」
「クラスで90点台一人でしょ?」

褒めそやされて彼女が謙遜するように「そんなことないよ」と笑う。
隠しきれていない満更でもない表情が目につく。
聞き間違いかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
掃除時間で騒がしいとはいえ、点数を堂々と言っているところがすごいなぁと思う。

――でもね、梶本さん。
あんまりそれ言わない方がいいよ?

掃除に戻りながら小さく呟く。

「明日、その言葉が自分に跳ね返ってくるだろうから」


「お前ら最近テストの点数悪いよな?
そこで、どうやったらやる気出すか先生考えたんだわ」
「じゃあ、金ください」
「却下」

朝のホームルームで担任が一つ提案した。

「俺の授業のテストで一番いい点数取った奴にはお菓子を進呈しようと思う!」
「はーい、せんせー高級なヤツ?」
「それは一番とって自分で確かめろ」

教室が楽し気にざわめく。
案外、お菓子で釣れるものらしいと思いながら、昨日の時点ですでに担任から聞いていた私は
人ごとの様に聞き流してぼんやりと窓の外を眺める。

「というわけだから、昨日のテスト。
一番だった奴にお菓子をやろう」

その言葉に私は斜め前の席に座る梶本さんに視線をやる。
その背は心なしか縮こまって見えた。
色々と彼女には彼女なりの理由があったのかもしれないけれど。
家庭教師に勉強を習ってる、とか、進学塾に行っているという噂を聞くし。
でも、ね?

――やっぱり「嘘」は駄目なんだよ。
ねぇ、梶本さん、タイミングが悪かったね。
失敗したね。

「佐々木」

先生が私の名を呼ぶ。

「はい」

と私は返事を返した。


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