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空 佳吹さん

そら かぶき…です。 ちょっと奇妙な小説を書きます。どうぞ宜しく!

性別 男性
将来の夢 作家
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落書きの向こう側 〜無限地獄〜

17/02/27 コンテスト(テーマ):第130回 時空モノガタリ文学賞 【 失敗 】 コメント:1件 空 佳吹 閲覧数:235

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 ボクは、朝の地下道を駅へ向かっていた。求職中のため、普段ならハローワークに行くところだが、きょうは映画の日だったので映画を見るためだった。途中、壁の落書きが目に入り足を止めた。
『仕事ある』
 とあったからだ。ボクは、どこの事かな……? と考えながらトイレに入った。そしてまた壁の前を通ったが、また足を止めてしまった。
『ココに仕事ある』
 に変わっていたからだ。ボクはコンビニに向かいながら、ゴゴ(午後)じゃなかったよな……? と壁の前に戻ってみた。すると何も書いてない白壁になっていた。ボクは、不思議で訳が分からなかった。が、どうしても気になったので、コンビニでおにぎり二個とペットボトルのお茶を買ってから、地上に出てネットカフェに入った。
 そして『ココ』で検索してみると、何件かヒットしたので、一件ずつケータイで聞いてみた。しかし該当する所は皆無だった。
 やはりイタズラだったか……と思いながら、地下鉄口に向かいかけ、ふと公園を見て足が止まった。その一角に、
『ココの店』
 という看板があったからだ。ボクはダメモトで待ってみた。
 おにぎりを食べ終わって半時間ほどした頃、ボクのタイプの女が一人、現れた。聞いてみると笑顔でうなずき、
「もう少し待ってね」
 折りたたみ椅子を置いて戻って行った。ボクは椅子に座ると疲れもあって、ウト……ウト……してしまった。

 はっと気付くと、隣りや向かいなどに個人の色々な小店が出ていて、何十人という人が歩いている、フリーマーケット会場になっていた。ボクの前にも、アクセサリーや革製品などの小品が並んでいる。やがて若い男女が、しゃがんで見始めた。こっちでは夫婦づれらしい二人が革製品を見ている。ボクはよく分からないまま、また寝てしまった。
 が、夢の中でもボクは売り子だった。次々に訪れる老若男女の客に対して小品を売りまくる。当然ながら疲れは感じなかった。

 はっと目覚めると、そこは夜中の誰もいない公園になっていた。横の箱には、三万円ほど千円札が入っている。あれは夢ではなかったのか……? ボクが、ふと胸ポケットを見ると『バイト代』と書いた封筒に、五千円札が入っていた。さらに振り向くと例の女がいた。ボクはあわてて立ち上がり、会釈した。彼女は、
「お疲れ様〜」
 その箱を取って椅子を折りたたむと、帰って行った。ボクは、彼女がどこから来たのかどうしても知りたくなり、後を追った。しかし彼女の足は意外と速かった。
 やがて街らしさから離れはじめ、ようやくその距離が縮みだした時、女は、奇妙で古びた中古アパートに入っていった。ボクも入っていったが、もう彼女は、奥の部屋に入るところだった。ボクは呆然としながら駆けつけた。中を覗いてみると、人影も家具も無かった。よく見ると、奥の壁に
『バカめー!』
 という落書きがあった。ボクは見とれて近付いた。すると突然、ストロボを焚(た)いたように壁全体が、ピカー! と光り、ボクは気絶した。

 次にボクが目を開けると、そこは白昼で、例のアパートの前に立っていた。手には折りたたみ椅子を持っている。不意に歩きだした。体が勝手に動いてるのだ。
 どんどん歩いていく、途中の人家の窓に映ったボクの姿は、例の女だった。向こうに見える、あの公園に向かっているようだ。
『ココの店』
 という看板の前で退屈そうにしている、ボクのところに……。
 こうしてボクは、バカなことを考えたために、永遠に続く地獄に落ちてしまったのだった……。


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このストーリーに関するコメント

17/03/24 雪見文鳥

不思議な雰囲気・後味の、面白い話でした。これからも頑張ってください。

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