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メモリアル

入賞した作品THE STORY WHICH WON

いつか二つ転がる

コンテスト:第140回 時空モノガタリ文学賞 【 育児 】

カテゴリ: 登録日:17/08/10

入賞時空モノガタリ文学賞 【 育児 】 入賞作品

 あなた方は失敗したのです。それを認めてどうか傲慢な姉をこの家から追い出して下さい。 「お姉ちゃんはいつになったら働くの?」  ――と、何度か繰り返してきた問いを両親にぶつける。二人はいつもと同じ答えを返した。 「あの子にもペースがあるから」 「もう何年も働いていないよね」  詰め寄っても父母は困ったように微笑むばかり。  歳の離れた姉妹だった。私が中学生の時に姉は就職をし、その...... 続きを読む

上手にその手を離せるように

コンテスト:第140回 時空モノガタリ文学賞 【 育児 】

カテゴリ: 登録日:17/08/13

入賞時空モノガタリ文学賞 【 育児 】 入賞作品

 暖かい手に繋がれていた記憶がある。まだ小学校に上がる前。養護施設「くすのき園」の園長先生が、化粧っ気のない顔で微笑んでいる。  周りの皆には、時々、お父さんやお母さんが会いに来てくれる。私には誰も来ないけれど、園長先生がいるから平気。手を、しっかりと繋いでいてくれる。それだけで、私は安心できた。  カーテンの開く気配で目が覚めた。三歳になる娘の陽菜が、おぼつかない手つきでカーテンをタッセ...... 続きを読む

二分の一 成人式

コンテスト:第140回 時空モノガタリ文学賞 【 育児 】

カテゴリ: 登録日:17/07/17

入賞時空モノガタリ文学賞 【 育児 】 入賞作品

「とうちゃん、作文の宿題があるんだ」  夕飯の片づけが終わって、とうちゃんが風呂に入る前に捕まえる。一日に一回のチャンスだ。 「おまえの宿題だろ?」  逃げの態勢のとうちゃんに低姿勢かつ逃げ場を与えない様に言わなくてはいけない。 「生まれた時の事を両親に訊いて書かく様に先生に言われたんだ」 「産んでないよ」  面倒くさい全開のオーラが出ている。 「とうちゃん、お願いだから真面目に答え...... 続きを読む

私、母親、ソダチマル

コンテスト:第140回 時空モノガタリ文学賞 【 育児 】

カテゴリ: 登録日:17/07/24

入賞時空モノガタリ文学賞 【 育児 】 入賞作品

 高校生になった私は、身長では母を上回った。大人っぽいね、どっちが親か分からないね、と近所の人たちによく言われる。  母子家庭で一人っ子だったので、娘の私がしっかりしなくてはいけないと自分に言い聞かせてきた。  母は大人しい人だったが飲酒癖があり、酔っても暴力を振るったりはしなかったけれど、泥酔すると恐ろしく悲観的で自虐的になる悪癖があった。 「お父さんがいなくてごめんね」「女の子なのにこん...... 続きを読む

マザー

コンテスト:第139回 時空モノガタリ文学賞 【 旅 】

カテゴリ: 登録日:17/07/03

入賞時空モノガタリ文学賞 【 旅 】 入賞作品

 蒸し暑い放課後、校庭で数人の生徒が丸まっているぼくの背中を何度も蹴りつける。身体で覆い被さって黒いランドセルを守った。この中には絶対にお母さんに見せなければいけない物が入っているのだ。敵達にランドセルを取り上げられたら、高い確率でそれは破り捨てられる。ぼくは敵達が飽きるのを待った。背中は痛いが彼らは限度というものを弁えている。やり過ぎれば親に密告されるということを知っているのだ。背中を踏みつけら...... 続きを読む

旅人の哀歌

コンテスト:第139回 時空モノガタリ文学賞 【 旅 】

カテゴリ: 登録日:17/07/29

入賞時空モノガタリ文学賞 【 旅 】 入賞作品

 物置部屋で一幅の絵を見つけた。  手前から奥に向かい、遠くの山への道が長く伸びるだけの絵だ。その道に、馬を連れてこちら側に背を向けて歩く男の姿が描かれている。これは旅人の絵だ。  何となく惹かれ、書斎に飾る事にした。 「傷んでいるな」  長い事放置されていたのだろう、くすんだ色が気になった。空しい色合いの絵に指を伸ばす。と、触れた部分が仄淡く色づいた。 「しまった」  指が汚れていた...... 続きを読む

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