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メモリアル

入賞した作品THE STORY WHICH WON

事件の表裏――それぞれの葛藤

コンテスト:第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】

カテゴリ: 登録日:17/09/16

入賞時空モノガタリ文学賞 【事件 】 入賞作品

 「ない」と気づいたのは、職員室に戻ってしばらく経った後だった。隣の席の本郷先生が「七時か」とまだ明るい外を見ながら呟いた時だ。俺も時刻を確認して「ですね」とでも相槌を打とうとした時だ。  腕時計が、ない。  あの時、プールサイドに置いたじゃないか、と一瞬で思い出し、俺は慌ててプールめがけて走り出した。「松岡先生、廊下は走っちゃいけないよ」と暢気な本郷先生の声も、今の俺には届かない。  生徒...... 続きを読む

緊急逮捕

コンテスト:第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】

カテゴリ: 登録日:17/09/18

入賞時空モノガタリ文学賞 【事件 】 入賞作品

その男が入った瞬間、支店内は凍り付いた。 明らかに銀行強盗だった。 覆面にサングラス、皮手袋には拳銃を持っていた。 最初に気づいた男性行員は即座に無音の非常通報ボタンを押した。 直後に「キャー」という悲鳴が店内の客から聞こえた。 覆面の男は、一番近い窓口に近寄ると、小さな声で言った。  「金を出せ。2000万以上、すぐだ」 さすが窓口の女性行員は悲鳴こそ上げなかったが、顔は青ざめ...... 続きを読む

袋男事件

コンテスト:第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】

カテゴリ: 登録日:17/09/23

入賞時空モノガタリ文学賞 【事件 】 入賞作品

 ある晩夏の夜、私は新入社員ながら、随分遅い帰途についていた。  駅から家までの道を歩いていると、街灯の少ない路地に出る。  最近、近所で男子高校生三人が行方不明になる事件があったと聞いた。道の不気味さと相まってより不安が煽られる。  道の先をふと見ると、二車線分くらいはある道路の左の塀沿いに、朧に人影が見えた。よく見えないが男性のようだ。こちらを向いて立ち止まっている。  気持ち右側へ寄...... 続きを読む

噤みの群れ

コンテスト:第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】

カテゴリ: 登録日:17/09/28

入賞時空モノガタリ文学賞 【事件 】 入賞作品

 あの事件が起ったのは、実咲が小学一年生の頃だった。近所の公園で、バラバラになった女性の遺体が見つかった。二週間後に廃材置き場で、その翌週にはスーパーの駐車場で、同じくバラバラになった遺体が発見された。逮捕されたのは、宇野清和という若い男だった。  宇野は取り調べで罪を自供した。すでに、裁判で死刑が確定している。あの男が生きてこの町に戻ってくることはないとわかっている。それでもまだ、この町の住人...... 続きを読む

じけんのかみさま

コンテスト:第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】

カテゴリ: 登録日:17/10/03

入賞時空モノガタリ文学賞 【事件 】 入賞作品

 ビルとビルに挟まれた小さな神社の前でスギノは足を止める。  赤い鳥居に続く参道は短く、本殿も小ぶり。名所でも何でもない、どこにでもあるまちの神社に見えた。  上司のヤベからこの神社の話を聞いたのは、昨夜のことだ。国内大手のA新聞社社会部でスクープを夢見る新米記者スギノは、日々の雑務と叱責で早くも心折れそうになっていた。  そこへ記者歴20年のヤベが「事件の神様って知ってるか」と切り出したの...... 続きを読む

いつか忘れられてゆく運命だとしても

コンテスト:第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】

カテゴリ: 登録日:17/10/08

入賞時空モノガタリ文学賞 【事件 】 入賞作品

 古いコンクリートの壁はあちこちがひび割れて、中でも二階と三階の間の踊り場の壁に出来た亀裂はとりわけ深く長く、途中で三つの筋に分かれている。それを眺めるたびいつも川みたいだと思う。階段を昇ってきて、座って乱れた息を整えながら、赤ん坊だった娘と私と夫が、文字通り川の字になって寝ていた頃を思い出す。娘の世話に夜も昼もなく明け暮れていた頃、私の願いは思う存分眠りたいという事だけだった。あの頃の私は、それ...... 続きを読む

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